予めの声掛けにより注意を促し、不適切行動を減らす

 明るく素直な性格で、様々な活動に積極的に参加し、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、本を読むことが好きで、図鑑やことわざ・四字熟語辞典をよく読んでいます。読んで覚えたことを詳しく車の中で話してくれることが多く、記憶力の良さに驚かされます。また、「もし恐竜が今の世界にいたら、何に会ってみたい?」「もしドラえもんと友達になったら、何してみたい?」等、色々な質問をしてくれます。友達や指導員が答えると、「それいいよね」と共感した上で「ぼくは○○がいいな。だって~だから」と理由も添えて自身の考えを伝えてくれます。人との相互コミュニケーションが上手で、楽しく会話を続けることができます。

 戸外活動では、友達の輪に自分から入っていくことができるようになり、楽しそうに過ごしています。「大きいバッタを捕まえたい」「○○君みたいにトンボをたくさん捕まえたい」と帽子や虫捕り網を片手に走り回り、元気よく過ごしていました。また、落ち葉の季節になってからは、落ち葉をたくさん集め、大きな山を作って遊んでいます。「みんな、手伝って」と元気よく呼びかけ、友達同士協力して、より大きな山を作ろうとがんばっています。今後も友達との交流を楽しんでもらい、友達と一緒に遊ぶと楽しいな、もっと遊びたいなと感じてもらえるようにしていきます。

 運動面では、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。記録会で繰り返し取り組んでいる2個同時ドリブルでは、膝を上手に使ってドリブルを続けることができます。鉄棒では、逆上がりができるようになり、とても喜んでいました。集団遊びでは、思い通りにならなくてもルールを守って取り組むことができるようになりました。ドッジボールでは、ボールをキャッチするのが上手になり、前向きに取り組んでくれるようになりました。また、「ぼくが投げたい」と主張することも多くなり、積極的に参加しています。今後も楽しく活動してもらい、運動能力を向上させていきます。

 学習面では、周りの子の声を気にすることがなくなり、自分から学習を始められるようになりました。公文では、少しずつ順調に進め、学年相当の内容に追いつきました。一人で問題を解くことができ、がんばっています。英語では、書く分量に配慮しており、毎回決まった分量を終えられるようがんばっています。

 気になる点は、不適切行動をしてしまう点です。具体的には、人前でズボンとパンツを脱ぐ、友達のズボンをおろす、ふざけてお茶を吐き出すことを繰り返す、床をなめる、舌を手で拭う等があります。これらの不適切行動を減らすため、以下の支援を行います。1つ目は、補助刺激を増やします。「今日は○○しないでね」と、まだ不適切行動をしていない状態の時に予め声を掛け、意識してもらいます。また、「今からお茶休憩だけど、こぼさないでね」等、行動の直前に注意を促し、意識しやすいよう配慮します。2つ目は、ほめることを増やします。具体的には、自ら適切な行動をとることができた時、注意を素直に受け入れられた時、何も問題が起きていない時にほめます。ポイントは、何も問題が起きていない時にほめることです。このような時にほめることによって、その時の適切な行動を維持しようという動機を高めるだけでなく、ほめる回数を大幅に増やすことができます。また、その場に相応しい姿を言葉にすることによって、それに沿うように行動するきっかけとなります。3つ目は、行動の重要性を言語化します。ルール支配行動の特徴は、直接経験していなくてもアドバイス等の言語刺激のみで行動が生起することです。また、周りの人からの承認で強化されます。問題行動が生じなかった日に「よくルールを守れましたね、がんばりましたね」と承認する声掛けを行うと、良い行動が強化され、また同じように行動するようになります。さらに、強化期間を限定すると価値が高まります。1日良い子で過ごせたらシールを貼り、シールがたまったら景品と交換できる現行のトークンのように、長い期間でフィードバックするよりも、活動の終わりに褒められたり、行動を抑えられる度に褒められたりする短い期間で行うフィードバックの方が好子の価値が高くなり、また良い行動をとるようになります。このように、予めの声掛けにより良い行動を引き出し、それをほめることによって、さらに良い行動を増やしていきます。そして、良い経験を積み重ねてもらい、好循環が生まれるよう支援していきます。

 本児は、素直に注意を受け入れたり、思い通りにならなくても気持ちをすぐに切り替えたりすることができるようになり、適切な行動が増えています。また、落ち着きが増し、様々な面で大きく成長しています。今後も良い点をさらに伸ばすとともに、不適切な行動を減らすことができるよう支援していきます。

Juri F.