Q&A 運動・感覚

Q. 運動が苦手な子も利用できますか?

A. もちろん利用していただけます。弊所は、「運動が嫌いな子や苦手な子に対し、楽しく身体を動かせるようになる支援」を実施しています。マンツーマンで遊ぶことから始め、その後、小集団活動を経て、最終的には集団活動で楽しく身体を動かせるようにしていきます。苦手意識は、過去のネガティブな経験による推論の誤りから生じていることも多く、心をケアしながら進めることで苦手意識を克服することができます。お気軽にご相談ください。


Q. 運動が苦手なのですが?

A. 運動能力を高めるには、動作スキル、いわゆる運動スキルを磨くとよいと言われています。運動能力は、体力と運動スキルの総合能力であり、運動スキルを上げれば、運動量の増加、体力の向上を経て運動能力を高めることができます。


Q. 運動スキルとは?

A. 運動スキルには、協応性・平衡性・敏捷性・巧緻性・スピード・柔軟性・リズム感があります。「協応性」は、2つ以上の部位の運動を1つのまとまった運動に融合するスキルです。「平衡性」は、身体の姿勢を保つスキルです。「敏捷性」は、身体をすばやく動かして、方向を転換したり、刺激に対して反応したりするスキルです。「巧緻性」は、身体を目的に合わせて正確に、すばやく、なめらかに動かすスキルです。「スピード」は、身体を速く進行させるスキルです。「柔軟性」は、身体の柔らかさのことです。「リズム感」は、音、拍子、動き、または、無理のない美しい連続的運動を含む調子のことです。

運動スキルスキルの内容種目例
協応性身体の2つ以上の部位の運動を1つのまとまった運動に融合するスキル短縄跳び、ドリブル、キャッチボール等
平衡性身体の姿勢を保つスキル。動的平衡性と、静止した状態での安定性を意味する静的平衡性とに区別される。片足バランスの飛行機やかかし、一本橋渡り等
敏捷性身体をすばやく動かして、方向を転換したり、刺激に対して反応したりするスキルジグザグ走り、ビーチフラッグス、反復横跳び等
巧緻性身体を目的に合わせて正確に、すばやく、なめらかに動かすスキル。いわゆる器用さ、巧みさのことマット運動、跳び箱、鉄棒等の器械運動、短縄跳び、サッカーのドリブル等
スピード身体を速く進行させるスキルかけっこ、鬼ごっこ等
柔軟性身体の柔らかさ。このスキルが高いと、運動をスムーズに大きく、美しく行うことができる。開脚前転、ブリッジ等
リズム感音、拍子、動き、または、無理のない美しい連続的運動を含む調子のことで、運動の協応や効率に関係する。長縄跳び、スキップ等

Q. 自閉症児への運動支援は?

A. 感覚の特異性により身体図式が確立しておらず運動イメージの未熟さが出現している場合は、身体図式の形成に重点を置き、自己受容感覚の入力及び筋感覚的イメージを想起させる運動に取り組みます。具体的には、バランスをとる等自己の身体に意識を向けた運動課題に取り組みます。平均台を渡る、片足で立つ、バランスを崩すように足を大きく振る、上半身と片足を床と平行にして飛行機のポーズをとる等、不安定な状態で自己受容感覚の入力及び筋感覚的イメージを想起させます。また、ラダーやフープの上を歩いたりジャンプしたり、異なる高さの台を移動したりする等、道具を使用し多様な方法で運動トレーニングを実施します。その後、身体図式が確立されたことを確認した上で運動トレーニングに重点を移していきます。


Q. 未就学児への運動支援は?

A. 4歳未満は手足の長さや太さなどの身体図式が不十分であることが多く、運動イメージが向上しません。したがって、4歳未満の子には、身体図式を形成するため、固有受容感覚の入力を行うことに重点を置き、運動は楽しむ程度にします。その後、4歳から5歳にかけて自己の身体イメージの向上とともに運動イメージが向上します。したがって、4歳以上の子には、身体図式の形成ができる固有受容感覚の入力を行いながら運動を楽しんでもらいます。


Q. 固有受容感覚とは?

A. 固有受容感覚は、位置覚(身体各部の位置)・運動覚(運動の状態)・抵抗覚(身体に加わる抵抗)・重量覚(重量の感知)の4つです。この感覚があることで、目を閉じた状態でも指と指を合わせられたり、おはじきを弾く時や物を持つ時の力の入れ具合を調節できたりします。固有受容感覚は、相撲、登り棒、ジャングルジム、鉄棒にぶら下がる、少し重い物を運ぶ等、ギューッと力を入れたり重さを感じられるものを持ったりすることの方が入力されやすいとされています。これは、抑制系を身につけるには興奮系を発達させる必要があることと同じ仕組みです。優しくゆっくり動作するにはギューッと力を入れる経験が必要なのです。

引用文献

今西健斗・玉井太至・沢田麻鈴(2018)「自閉症児は運動イメージの獲得により日常生活動作が向上する」『四国理学療法士会』40、94-95

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