日本における早期発達支援の現状と課題ー未就学の自閉スペクトラム症児の研究を考察するー

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目次

問題と目的
  自閉スペクトラム症と早期発達支援
  Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children(Lovaas,1987)を振り返る  
  Lovaas(1987)の問題点を克服するための動きと本研究の目的
方法
  対象論文
  項目の分類
結果
  9つの観点の定義
  症状,検査情報,生育歴等
  機能分析
  指導目的
  指導場所・場面
  介入方法
  期間,頻度・セッション数,時間
  研究において扱われた変数
  介入結果
  考察
考察
  般化
  自発性
  維持・拡大
  母親支援の重要性
  早期発達支援の展望
引用文献

問題と目的

自閉スペクトラム症と早期発達支援

 発達障がいとは,自閉症,アスペルガー症候群その他広汎性発達障がい,学習障がい,注意欠陥多動性障がい,その他これに類する脳機能の障がいであり,その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものである。また,発達障がい児とは,発達障がい者のうち十八歳未満の者をいう(文部科学省,2021)。

 発達障がい者支援法では,発達障がい者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために,発達障がいの症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うとともに,切れ目なく支援を行うことが特に重要とされている。また,早期発達支援とは,障がいのある児童の育成について,できるだけ早期に,適切な医療的リハビリテーション,指導訓練などの療育を行うことにより,障がいの軽減及び基本的な生活能力の向上を図り,自立と社会参加を促進することである (内閣府,2021)。

 早期発達支援を実施するには早期発見が必要である。2歳で重度の相互作用及びコミュニケーションに問題を抱えた20人の子どもを対象にした研究によると,2歳で自閉症の診断を受け,その後4,5歳で再診断を実施した結果,2歳時の自閉スペクトラム症の診断は,信頼性が高く安定していたことが示されている。そのことから,早期診断の重要性は,早期発達支援の扉を開くことであり,後の人生で多くの問題が発生することを防ぐことができるとされている(Moore & Goodson,2003)。

 自閉性障がいは,以下の3つの診断基準を満たす場合をいう。知能指数がおよそ70 以上の場合,高機能自閉性障がいという場合が多い。(a)対人的相互作用における質的障がいがある。前言語的伝達行動も含めて,対人的コミュニケーションに困難をもつ。アイコンタクトや顔の表情や身ぶりを使って対人関係をつくり,調整する行動が少ない。同年代の仲間と社会的関係をもつこと,自分の興味のあるものを他者と共有することが難しい。共同注意(joint attention),自分の興味のあるものを他者に手渡す(giving),指さす(pointing),持ってきて見せる(showing)などの行動が出現しにくい(b)意志伝達の質的障がいがある。話しことばがない,あるいはその発達に遅れと偏りがある, 常同的な言語を使用するなどが含まれる(c)行動,興味,活動が,限定的,反復的,常同的である。1 つの物や行動や考えへのこだわり,ステレオタイプな行動,自己刺激行動,自傷行動の頻発などが含まれる(山本・楠本,2007)。

 2013 年 5 月,アメリカ精神医学会は, DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. Fifth Edition)で新しい診断基準を示した。その中で,Autism Spectrum Disorder が,単数形の表記になったことが重要な注意点である。DSM-IV-TR では,広汎性発達障がいは,下位分類に自閉性障がい,レット障がい,小児期崩壊性障がい,アスペルガー障がい,特定不能の広汎性発達障がい(非定型自閉症を含む)を含んでいた。しかし,DSM-5では,レット障がいを除いた残り 4 つの広汎性発達障がいの包括概念として,Autism Spectrum Disorderを用いると同時に,下位分類と個別の診断基準も廃止した。これは,DSM-5 の他の精神疾患・障がいの分類や診断基準の改定で見られる細分化・高度化の方向性とは異なる,診断の大綱化といってよい改変である(宮川,2014)。

 自閉症の子どもは,その障がい特性ゆえに社会的な不適応を起こしたり問題を抱えやすかったりすることが示されている(横山,2019)。たとえば,さまざまな精神症状あるいは精神疾患が併存する。また,興奮性,攻撃的行動などの非特異的な異常行動や自傷行動も多くみられる(傳田,2017)。有病率は,米国の疾病管理予防センター(U.S. Centers for Disease Control and Prevention,2007)によると8歳児で0.66%,英国のBaird et al.(2006)によると9-10歳児で1.16%とされる。わが国では,横浜市の1988年から1996年の,0歳から7歳児における累積罹患率は0.88%であった(Honda,Shimizu,& Rutter,2005)。

 現時点において,自閉症の中核症状に有効な薬物はなく,早期から医療だけでなく教育や福祉との連携が必須である。また,認知やコミュニケーションの弱さを考慮した周囲の働きかけや,学校や家庭などの生活環境の見直し及び調整が必要である(高橋・神尾,2018)。

 日本では,1歳6か月児健康診査,3歳児健康診査がそれぞれ1977年,1963年に開始されたことによって,乳幼児の医学的・心理学的スクリーニングが全面的に行われるようになった。乳幼児健康診査において,発達の遅れ,多動,コミュニケーションの難しさなどが認められた場合は,保健センターで行われている健診事後教室を経て,児童発達支援センター等の専門機関で療育が行われることが多い。その中でも,最も一般的なものが,低年齢では親子通園を行い,年齢が上がると単独通園に移行する形式である(横山・吉田・永田,2019)。杉山(1996)は,親子通園の有効性について,母子の1対1対応という愛着の基盤となる濃密な関係が形成されることにより,療育の成果が示されることを指摘している。また,不登校,ひきこもり,虐待といった社会問題につながった子どものほとんどは未診断で,これまでに特別な支援を受けた経験のない発達障がい児であったことが明らかにされている(十枝,2018)。つまり,早期発達支援を実施することで,不適応行動の問題や自尊心の低下,不登校,心身症などの二次障がい,さらには,いじめなどを未然に防ぐことができる。特に,自閉症児については1歳代が大切な時期と言われている。その理由は,1歳代は脳がダイナミックに変化していく時期で,発達経過を変化させる潜在能力をもつ神経可塑性がみられるからである(大戸・宮本,2016)。

 2,3歳の自閉症児に,早期から行動的な介入を実施し,その有効性を検討する研究が1987年から行われてきた。Green(1996)は,「Lovaas(1987)のUCLAプロジェクト」「Anderson et al.(1987)のMay Institute Study」「Birnbrauer & Loach(1993)のMudoch Early Intervention Program」「Sheinkopf & Siegel(1998)のUS・San Francisco Study」の4つの早期発達支援を概観している。その結果,早期集中療育は明らかに成果が認められるが,10%の自閉症児には効果がみられなかったと述べている。また,指導の開始年齢は遅くとも5歳以前で,2,3歳で始めることが最適であることや,応用行動分析のスーパーヴァイズのもとで指導を受けることが重要であるとしている。さらに,成果から考えるとそのコストは決して高くないと述べている(谷,2012)。この4つの研究の中で,最も高い治療効果を示し,注目を集めたのがLovaas(1987)の成果である。Lovaasは,早期発達支援において,Discrete Trial Training(以下,DTTとする)を中心とした多くの技法を組み入れて体系化し,初期より優れた治療実績を上げた(横山他,2019)。DTTとは,応用行動分析の中でも構造化されたトレーニングであり,初期の応用行動分析の研究において得られた自閉症に対する効果的な教授法の一つである(横山他,2020)。Lovaas(1987)によると,3〜6歳までの自閉症児に対する3年間におよぶ系統的指導により,実験群の47%が通常の知的及び教育的機能が改善したと報告している。この結果は,応用行動分析によるエビデンスに基づいた早期発達支援のきっかけとなった。この早期発達支援のきっかけをつくった「Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children(Lovaas,1987)」の内容を以下に詳しく示す。

Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic ChildrenLovaas1987を振り返る

 早期発達支援のきっかけとなったLovaasの「Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children」は,1987年に執筆されたものである。Lovaas(1987)は,34年前,この論文の冒頭で,自閉症の病因は知られておらず,成果は非常に不足していると述べている。また,今のところ,自閉症児に対する最も期待できる治療は,現代の学習理論から生成された行動変容であると述べている。

 Lovaas(1987)は,自閉症児への行動介入の実験結果は,肯定的な面と否定的な面を併せ持っていると述べている。肯定的な面では,行動療法は複雑な行動を構築することができ,攻撃性や自己刺激行動を抑えるのに役立つ。また,クライエントが得られる効果量には差はあるが,治療に費やした時間に比例して治療効果が得られることを示している。否定的な面では,治療の効果はクライエントの治療環境により異なり,追跡調査時にはかなりの再発が確認され,クライエントが回復したという報告もなされていないと述べている(Lovaas et al.,1973)。また,1970年に始まった行動介入プロジェクトに触れ,この行動介入プロジェクトは,何年もの間,自閉症の子どもが目を覚ましているほとんどの時間を治療に費やすことによって,行動療法の効果を最大化しようと努力したものであると述べている。

 4歳という年齢の低い自閉症児に焦点を当てた理由については,小さい子どもは環境に左右される傾向が弱く,治療の効果を一般化したり維持したりする実現性が高いと推定できるからだと述べている。また,年長の自閉症児を小学校の普通学級に組み入れるよりも,年少の自閉症児を保育園の普通クラスに組み入れることのほうがやさしいと推定できると述べている。そして「年少の自閉症児に対する特別で集中的且つ系統的な学習環境の構築は,小学1年生までに健常の友達に追いつくことを可能にする」という仮説を立てた。

 実験参加者については,医師や心理学者からの自閉症診断を受けていること,無言の場合は生活年齢が40か月未満,反響言語の場合は生活年齢が46か月未満であること,生活年齢30か月の時点で11か月以上の精神年齢であること,という3つの基準を満たす子どもを実験参加者として登録した。診断は,両親との構造化された精神医学的インタビュー,子どもの自由遊び行動の観察,知能検査,小児科の検査に基づいて行われた。実験参加者の90%以上は,既に2つ以上の独立した診断を受けていて,自閉症の診断についての合意は100%であった。また,インテーク時,実験群の知的機能は,通常範囲2人,軽度の遅滞範囲7人,重度の遅滞範囲10人であった。遊び方については,ふり遊びやごっこ遊びをする子0人,複雑な遊びをする子2人,単純な遊びをする子17人であった。コミュニケーションについては,最小限の適切な発話ができる子が1人,反響言語のある子が7人,話さない子が11人であった。

 実験参加者を,週に40時間以上の治療を受ける集中治療の実験群(n=19)と,週に10時間以下の治療を受ける最小治療の統制群1(n=19)の2つの群に割り当てた。この2つの治療群は,途中で群を変えず2年以上の治療を受けた。

 実験群に対して,十分に訓練された学生セラピストが,週平均40時間の治療を2年以上,実験参加者の自宅,学校及びコミュニティーで実施した。また,両親も治療チームの一員として治療に加わった。治療の基本は,強化(オペラント)理論,弁別学習であった。

 治療1年目の目標は,自己刺激的・攻撃的行動を減らすこと,言語による要求に従う行動を構築すること,模倣を教えること,適切な玩具遊びを確立すること,支援を家庭内に拡張することであった。治療2年目の目標は,初歩的な抽象的言語,仲間との双方向的な遊びを教えることであった。治療3年目の目標は,適切且つ多様な感情表現を表出すること,初歩的な読み,書き,計算課題をこなすこと,他の子どもたちが学ぶところを見ることによって学ぶ観察学習をすることであった。

 Lovaas(1987)は,治療前の実験群と統制群1の比較で,8つの変数について多変量分散分析(MANOVA; Brecht & Woodward,1984)を実施した(Table 1)。8つの変数とは,最初の診断時の生活年齢,治療開始時の生活年齢,配分された精神年齢,病理学合計,異常な発話,自己刺激行動,適切な玩具遊び,認識可能な単語である。その結果,治療開始時の生活年齢を除いて,グループ間に有意差はなかった(p <.05)。また,スタッフ不足のため,統制群の治療開始が遅れ,統制群は実験群よりも平均して6か月生活年齢が上がったが,治療前の実験群と統制群に有意差は見られなかった。

 そして,3,4歳のうちに週40時間以上の訓練プログラムを2年間続けることで,参加児のおよそ半数が知能検査で定型発達の子どもと同等の得点を出すようになることを示し,行動分析学以外の専門家や行政機関からも大きな注目を集めた結果が出された(島宗,2019)。

 治療後,被験者の知的機能のレベルは大幅に上がった。実験群の被験者は,統制群1の被験者よりも平均30以上のIQポイントを獲得した。3つの群の主な追跡調査データをTable 2に示す。治療前は,行動療法による集中的な治療を施された実験群と,最小限の治療を施された統制群の間には有意差が見られなかったが,追跡調査時,実験群は統制群よりも有意に優れていた。具体的には,実験群の47%は通常の知的及び教育的機能の水準を達成した。しかし,統制群ではわずか2%のみしか達成しなかった。

Lovaas1987の問題点を克服するための動きと本研究の目的

 Lovaas(1987)の結果を受け,米国保健福祉省の下部組織である米国連邦公衆保健局の局長による1999年の精神保健レポートでは,自閉スペクトラム症児への支援の目的は,子どもの社会的及び言語的な発達を促進すること,子どもの機能や学習を妨げる行動を最小にすることであるとし,応用行動分析学による介入が唯一エビデンスを基にした研究成果であり,有効であるとの結論を公示している(U.S. Department of Health and Human Services,1999)。また,米国精神保健研究所も,応用行動分析学が効果的で広く用いられる自閉スペクトラム症の治療法であるとし,子どもの興味に基づいてプランされ,見通しが持てるスケジュールを与え,単純なステップの連続からなり,高度に構造化された活動の中で,子どもの注意を積極的に促し,常に行動を強化するプログラムが効果的であると述べている。そして,教師やセラピストに加え,親も療育に参加し,行動変容及びスキル学習の指導方法を身につけ,家庭でも療育を続けることを薦めている(National Institute of Mental Health,2004)。さらに,米国の科学アカデミーのもとにある米国学術研究所会議(National Research Council)は,これまでの研究を詳細に分析し,応用行動分析による早期からの週25時間以上の系統的で適切な支援が最も効果的であるというガイドラインを提示している(National Research Council,2001)。

 しかし,机上学習という形で進められたLovaasの手法は,多くの成果を上げた一方で,様々な問題点や課題が指摘された。具体的には,訓練された行動の般化・維持が困難であること,自発性が低下すること,訓練された行動が拡大・発展しないこと等の問題が指摘された(大野他,1985)。これらの問題を解決するために,機会利用型指導法やタイムディレイ法を用いた支援が試みられた。機会利用型指導法は,Hart & Risley(1975)によって開発された技法である。機会利用型指導法は,構造化された事態を排除し,自由度の高い日常生活において,オペラントレベルの高い行動が自発しやすいよう設定した。また,標的行動が複数用意され,各々の自発反応に対して異なる強化子を提示した。この技法は,子どもの自発的なコミュニケーションの始発と,機能的な言語使用を促進させることに有効であることが広く確認された。タイムディレイ法は,Halle et al.(1979)が精神遅滞児の要求言語を形成をするために開発した技法である。この技法は,言語は未獲得だが,非言語的コミュニケーションは可能であるという子どもに対して,非言語的な要求が生じた場合に,何らかの発声が生じるまで一定時間強化を遅延し,発声が得られない場合には,モデルを提示して模倣反応を強化する技法である(嶋崎,1990)。Halle et al.(1979)は,朝食の提供場面において,環境の変化が食べ物の要求にどのような影響を与えるかについて実験を行い,料理皿の提供を15秒間遅らせる操作は,6人中3人の子の食事の要求を呼び起こす手がかりとして役立った,残りの3人のうち2人は15秒の遅延の終わりに「トレイをお願いします」という要求モデルを出現させた,最後の一人は集中的なトレーニングが必要であったことを報告した(Halle et al.,1979)。

 また,Lovaasの共著者であるKoegel,et al.(1999)は,Pivotal Response Treatment(以下,PRTとする)を開発した。PRTは,行動が変更されたときに,他の領域に付随する前向きな変化をもたらす基軸領域を特定することに焦点を合わせた技法である。基軸の領域には,複数の手がかりへの応答性,社会的及び環境的刺激を介して適切に応答する動機づけ,及び自己管理と自己開始の行動による自己調整が含まれていた。また,個々の行動を1つずつターゲットにするのではなく,発展に広範な影響を与える行動をターゲットにすることで介入を合理化した。

 一方,日本では,Lovaasが用いた既に効力のある強化子ではなく,社会性強化子の形成を可能にしてから実施するフリー・オペラント法,HIROCo法(Human Interaction with Response Outcome Control)が開発された。フリー・オペラント法は,佐久間(1978)が梅花女子大学で開発した技法である。佐久間(1978)は,だっこやくすぐりといった身体接触を強化子として,自閉症児に発語を形成することに成功した(嶋崎,1990)。この技法は,獲得された行動の社会場面への波及と保持,さらには社会場面での発展を目指して,先行刺激,反応,後続刺激の3項のうち,先行刺激による制御を最小にし,後続刺激による制御を最大にするオペラント強化手続きに重点を置くことを特徴としていた(久野,1988)。HIROCo法は,筑波大学を中心に開発された技法である。ディスクリート型オペラント技法の問題点を指摘し,フリー・オペラントの枠組みの中で,独自の技法として展開した(嶋崎,1990)。HIROCo法は,先行刺激操作よりも結果操作を重視した。また,多様な強化子を導入・形成した。特に言語行動については,言語の社会性に鑑み,対人関係を重視した(大野他,1985)。また,嫌悪事態の不提示,正の強化子による結果操作,自由反応場面の設定,多様な強化子の導入を特徴とした接近行動の形成を基本とし,指導の効果を高めた(杉山,1989)。しかし,佐久間(1978)は,フリー・オペラント法やHIROCo法は,柔軟性を特徴にしているが,手続きが明確でない,又プロセスの分析も十分でないことから,エピソードの記述に終わることもあると述べた。また,杉山(1989)も, HIROCo法は,柔軟であることを特徴としていることからも,手続きの内容が明確にできなかったと述べた。このように,目標行動を設定しても,目標に至るまでの標的行動の系列が明確にできないという課題が残された。その後,久野らは,適応的行動は全く自発的な行動ではなく,文脈の中で適切な弁別刺激に反応することであるという観点から,Lovaasが実施したディスクリートな場面での指導と,フリー・オペラント場面での指導を組み合わせ,習得した行動の般化を促進させ自発性を高める兵庫医大式フリー・オペラント法を開発した(谷,2012)。

 このように,Lovaas支援をきっかけとした早期発達支援は,多くの成果を上げながらも問題を指摘されてきた。その問題を克服するために,日本ではまったく新しい技法によって自閉症児の訓練が実施されてきた。しかしながら,早期発達支援の何が有効だったのか,早期発達支援はどのような子に対して有効なのか,20時間を超える一対一のトレーニングが必要なのか,専門家の関与はどの程度必要なのかなどの重要な疑問に対しては今でもはっきりとした答えがないままである(谷,2012)。また,海外と我が国では治療教育の事情をやや異にしており,海外の問題をそのまま日本に当てはめることは危険である(杉山,1989)。したがって,日本の治療教育に合った早期発達支援プログラムが必要であり,その実践研究が望まれる。しかし,それにあたり,日本における自閉症児への早期発達支援の指導内容や頻度,その効果の検討という観点からの研究知見が十分に整理されているとは言いがたい。

 そこで,本研究では,2000年以降の日本における早期発達支援の現状と課題を明らかにし,未就学の自閉症児に対する支援の手続き上の工夫についての考察,及び早期発達支援の展望を行うことを目的とする。

方法

対象論文

 文献検索の方法は,Google Scholarによる文献検索,インターネットによる各Webページの閲覧及びダウンロードにより,文献・文書を抽出した。検索実施日は,2021年10月11日,検索対象期間は2000年以降とした。検索方法は,フリーワードにおいて,「早期発達支援 自閉症 未就学 応用行動分析」の言葉を含む文献を検索した。その結果,合計824編の論文が収集された。これらの論文のうち,(a)未就学の自閉症児に対して指導を行っている(b)行動分析学に基づく介入手続きを実施している(c)介入前,介入後の実証的データが伴っているという以上の3点の基準を満たす論文を抽出した。その結果,最終的に24編の論文を分析に用いることとした。

項目の分類

 本論考は,基準を満たした24編の論文を概観し,未就学の自閉症児に対して実施した早期発達支援について,9つの観点(症状・検査情報・生育歴等,機能分析,指導目的,指導場所・場面,介入方法,期間・頻度・セッション数・時間等,研究において扱われた変数,介入結果,考察)に集約できると判断した。その結果の主要な情報をTable 3からTable 29に示す。

Table 3-29

結果

9の観点の定義

 症状・検査情報・生育歴等では,言葉の遅れがみられる,又はコミュニケーションに問題が見られるなどの症状,発達指数やVineland-Ⅱ適応行動尺度などの検査情報,障がいの診断を受けた年齢,または健診や保護者の気付きで子どもの障がいを意識した年齢などの生育歴を示す。

 機能分析では,標的行動や問題行動など,アセスメントとしての行動分析の対象となった行動を示す。

 指導目的では,言語行動や自発的行動など,指導の対象となった標的行動を示す。

 指導場所・場面では,大学や自宅などの指導をした場所,玩具の置かれた自由設定場面やトレーナーと向き合って座るなどの状況を示す。

 介入方法では,強化刺激を提示する,または,環境を設定するなどの,具体的な介入方法を示す。

 期間では,介入期間の平均値,最小値,最大値を示す。頻度では,1週間における介入回数を示す。セッション数では,介入回数の平均値,最小値,最大値を示す。時間では,介入時間の平均値,最小値,最大値を示す。

 研究において扱われた変数では,言語行動や要求行動など,変数の対象となった標的行動を示す。

 介入結果では,活動やコミュニケーションのひろがりが見られた,要求言語行動の生起率が増加したなど,実験によって得られた行動分析の効果を示す。

 考察では,コミュニケーションの問題を抱えやすい自閉症児であるということから考えると,ごっこ遊びのような抽象性の高い活動はその文脈の理解が困難であり,結果として自発・反応とも低く,相互作用が成立しなかったが,設定場面は,他の場面と比較して,相互作用数,連鎖数とも多く,対象児にとって状況を弁別し,反応することが可能であったなどの,実験によって得られた研究知見を示す。

症状,検査情報,生育歴等

 抽出された24編の論文の中の,32名の未就学の自閉症児の症状は以下の通りであった。主要な情報をTable 3からTable 5に示す。

 言葉の遅れが見られる11名,一人遊び等のコミュニケーションに問題が見られる11名,視線が合わない3名,離席・屋外に飛び出す3名,ソーシャルスキルに問題が見られる3名,物を壊す・投げる3名,他害3名,集中できない2名,物を並べる等の常同行動が見られる2名,パニック・癇癪を起こす2名,頭をぶつける等の自傷行為が見られる2名,大声・不適切発言が見られる2名,こだわりが強い2名,突然笑いだす1名,暴れる1名,いたずら等の問題行動が見られる1名,性器を繰り返し触る1名,不注意1名,落ち着かない・走り回る1名,好奇心が足りない1名,力が入らない1名,動作模倣ができない1名,偏食1名,日常生活動作に問題が見られる1名であった。

 以下に検査情報,生育歴等を示す。なお,当該項目における32名に満たない数は,当該項目についての記述がなかったことを示す。

 障がいの診断を受けた年齢は,1歳代1名,2歳代2名,3歳代1名,4歳代2名であった。

 健診や保護者の気付き等で子どもの障がいを意識した年齢は,1歳代4名,2歳代1名,3歳代1名であった。

 療育手帳は,A判定1名,B判定1名であった。

 服薬をしている子どもは2名,薬の種類はリスパダール,デパケンシロップ,レキソタン,ベンザリン,ロゼレムであった。

 発達指数(DQ)の全領域では,10台1名,20台1名,30台1名,40台2名,50台1名,70台2名,80台1名であった。認知・適応では,10台1名,20台1名,40台2名,60台1名,70台1名,80台1名であった。姿勢・運動では,20台1名,40台2名,50台1名,60台1名,70台1名,80台1名であった。言語・社会では,10台3名,20台1名,60台2名,80台1名,100台1名であった。探索では,70台1名,社会では,70台1名,生活習慣では,80台1名であった。

 Vineland-Ⅱ適応行動尺度のコミュニケーションでは30台1名,日常生活スキル30台1名,社会性30台1名,運動スキル30台1名であった。

 KIDS乳幼児スケールTタイプ検査では,総合発達指数30台1名,運動50台1名,操作30台1名,理解言語30台1名,表出20台1名,対子ども社会性30台1名,対成人社会性40台1名,しつけ50台1名,食事30台1名であった。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の検査情報,症状,生育歴等において,言葉の遅れが見られる症状や,一人遊び等のコミュニケーションに問題が見られる症状が多いことが示された。また,症状が多岐に渡ることも示された。さらに,各種検査においては,低い数値から定型発達と同等の数値を保持する子まで,能力には個人差があることが示された。

機能分析

 抽出された24編の論文において,機能分析の対象は以下の通りであった。主要な情報をTable 6からTable 8に示す。

 遊び(一人遊び等)12件,言語(音声模倣,音声言語理解,音声言語表出,語彙,単語,レパートリー,2語文,3語文,発音,母音,子音,過去,未来,名詞,会話,挨拶,説明,応答,不規則発言等)11件,視線共有・共同注意・アイコンタクト11件,他児とのかかわり7件,要求行動7件,機能7件,他者への働きかけ5件,刺激(弁別刺激等)4件,視覚4件,玩具の扱いや関心3件,こだわり3件,人間関係3件,癇癪・パニック3件,動作模倣3件,注目3件,知覚2件,環境2件,コミュニケーション2件,過敏2件,偏食2件,感情2件,飛び出し2件,表情理解2件,情報伝達2件,注意散漫2件,その他,対人回避,介入への反応,般性強化子,役割交代,嫌悪事態,運動,におい,相互伝達,意思表出,意思交換,協応性(目と手等),他害行動,自己刺激行動,興味関心,推察,指示理解,応答性,無反応,読み書き(写し書き,聞き書き,なぞり書き,英語,数字等),色理解,数理解,瞬き,非言語手段,注意喚起,共感,社会的参照,認知発達,乱暴,衝動性,離席,逃避,警戒心,入浴(着脱,洗体等),問題行動,消去,充足の遅延,行動レパートリー,ソーシャルスキル,注意散漫,持続時間,トイレ,声掛け,接触・抱きつき,拒否,絵,着脱(前後弁別等),不適切行動,コントロール(行動・情緒),巧緻性,食事,排泄がそれぞれ1件ずつ見受けられた。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の機能分析の対象は,遊び,言語,共同注意が多いことが示された。また,分析の対象は多岐に渡ることが示された。

指導目的

 抽出された24編の論文において,指導目的の対象は以下の通りであった。主要な情報をTable 9からTable 11に示す。

 言語行動8件(要求言語行動,報告言語行動,応答言語行動,教示言語行動,発語,発話),自発的行動7件,コミュニケーション行動5件(他者の信念理解,他者への働きかけ,他者感情理解,対人接近反応),相互作用・相互交渉5件,反応4件,遊び4件,要求行動4件,視線4件(共同注意,視線共有,視線移動,アイコンタクト),表現・表明4件(感情の表現,行動の表現,動作表出),選択行動3件,般化3件,他者とのかかわり2件,発声2件,ソーシャルスキルトレーニング2件,その他,こだわり,着替え,適切なトイレの使用,動作模倣,弁別,乱暴な行動を減らすがそれぞれ1件ずつ見受けられた。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の指導目的の対象は,言語行動,自発的行動,相互作用・相互交渉が多いことが示された。

指導場所・場面

  抽出された24編の論文において,指導の場所・場面は以下の通りであった。主要な情報をTable 12からTable 14に示す。

 指導場所の対象は,大学7件(個別療育室,言語臨床指導室,プレイルーム,教育相談室,発達障がい早期支援教室),幼稚園3件(教室,遊戯室,園庭),自宅2件,その他,訓練室,プレイルーム,保育所,通園施設,児童発達支援事業所がそれぞれ1件ずつ見受けられた。

 これらのことから,指導場面の対象は,大学,幼稚園,自宅が多いことが示された。また,指導場面の対象は,玩具の置かれた自由設定場面3件,トレーナーと向き合って座る2件,その他,製作活動,砂遊び,カード遊び,幼稚園での生活場面,保育所の朝の会,最寄りの道がそれぞれ1件ずつ見受けられた。これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の指導場面の対象は,玩具の置かれた自由設定場面,トレーナーと向き合って座るが多いことが示された。

介入方法

 抽出された24編の論文において,介入方法は以下の通りであった。主要な情報をTable 15からTable 17に示す。

 強化刺激を提示する(言語賞賛,要求応答,微笑み,視線を向ける,声を掛ける,容認する,身体接触,くすぐり,頭をなでる,拍手等)12編,状況・場面等,環境を設定する11編,自発行動を生起させる8編,一緒に遊ぶ(ふり遊び,象徴遊び,模倣等)7編,プロンプトを提示する(身体,言語等)5編,言語行動を生起させる(発声,発語,報告言語行動,二語文・三語文,助詞等)4編,要求行動を生起させる4編,接近行動を生起させる4編,アイコンタクト・注視行動を生起させる4編,モデルを提示する4編,音声・言語教示4編,SST(ソーシャルスキルトレーニング)の実施(言語教示,モデリング,ロールプレイ,リハーサル,フィードバック,不適応行動の改善等)4編,消去手続き3編,動作模倣訓練(タッチする,バンザイする,頭を触る,お腹を触る,拍手する,耳を触る,鼻を触る,口を触る,目の周りを触る,膝を触る等)3編,弁別刺激訓練3編,嫌悪事態の不提示2編,他者への働きかけを生起する2編,PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)の実施2編,先行刺激操作を最小限に止める2編,般化を促す2編,先行刺激の提示方法を工夫する(子どもの注意をひくときの声の高さ,強弱,速さ,タイミングを適切に行う,1回にひとつの行動を指示する等)2編,その他,選択行動を生起させる,質問行動を生起させる,伝達行動を生起させる,視覚提示する,注意をひく,即座に応答する,応答を遅延する,強化刺激を直後に提示する,反応を待つ(反応,選択,伝達等),遊びを見せる,不連続試行法(DTT)の実施,基軸的行動発達支援法(Pivotal Response Treatment:PRT)の実施,フリー・オペラント技法の実施,トークン・エコノミー法の実施,クラスワイド・ソーシャルスキルトレーニング(Classwide Social Skills Training:CSST)の実施,トイレトレーニング,視線移動指導,モチベーションを維持する,指示を板書する,指示の手順を一定にする,机間指導,文脈に対応した関わりに配慮する,逆模倣の提示,相互交渉を長持ちさせるがそれぞれ1編ずつ見受けられた。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の介入方法は, 強化刺激を提示する(言語賞賛,要求応答,微笑み,視線を向ける,声を掛ける,容認する,身体接触,くすぐり,頭をなでる,拍手等),状況・場面等,環境を設定する,自発行動を生起させる,一緒に遊ぶ(ふり遊び,象徴遊び,模倣等)が多いことが示された。また,言語行動,要求行動,接近行動,注視行動等,何らかの行動を生起させる方法が延べ29編あり,自閉スペクトラム症児は,行動を生起させることに困り感があることが示された。さらに,介入方法は多岐に渡ることが示された。

期間,頻度・セッション数,時間

 抽出された24編の論文において,期間,頻度・セッション数,時間は以下の通りであった。主要な情報をTable 18からTable 20に示す。

 介入期間の平均値は記述のなかったものを除き7.3ヶ月であり,最小値は2ヶ月,最大値は14ヶ月であった。介入頻度は,週1回が7編,週2回が5編,月2回が2編,月2~3回が1編であった。介入のセッション数の平均値は記述のなかったものを除き12.9セッションであり,最小値は3セッション,最大値は22セッションであった。介入時間の平均値は記述のなかったものを除き49.7分であり,最小値は10分,最大値は5時間であった。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究の期間,頻度・セッション数,時間は,研究によって非常に大きなばらつきがあることが示された。なお,1研究において手続きにより期間,頻度,セッション数,時間が異なる場合は,より多い期間,頻度,セッション数,時間を算出の対象とした。また,週2,3回という記述に関しては,2,3回の平均値である2.5回として算出した。

研究において扱われた変数

 抽出された24編の論文において,研究において扱われた変数は以下の通りであった。主要な情報をTable 21からTable 23に示す。

 言語行動14件(発声頻度,表出された発声の頻度,自身の感情についての発話数と模倣率,自身の行動についての発話数と模倣率,発語などの正反応率及び生起率,教示言語行動の生起率,報告言語行動の正反応率,呟き(独り言)の構造,指導者への会話内容と行動の変化,日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙,不規則発言と傾聴発言行動,反応選択行動及び応答言語行動の正反応率,乱暴な言葉の生起数,質問の際の表現パターン),要求行動5件(表出された要求頻度,表出された要求手段の出現率,要求場面・反応型共同注意場面における視線移動の生起率,要求行動を構成する各行動と発声,PECSによる要求行動の形成),自発行動4件(自発的働きかけ行動の生起頻度,自発的かかわり行動の機能,自発行動の機能,自発的働きかけ行動から始まった相互交渉の比率),模倣行動3件(自身の感情についての発話数と模倣率,自身の行動についての発話数と模倣率,動作模倣テスト),相互作用3件(対象児-スタッフ間の相互作用,スタッフ-対象児の相互作用[設定場面,ごっこ遊び,自由遊び],相互作用系列数),正反応行動3件(正反応率,正反応数,絵カード選択と対応する動作表出の正反応率),その他,反応機能率,反応型数,平均ターン数,自閉的特徴の変化,未訓練課題の正誤,エラーパターン,自由場面における行動の生起率,掃除場面における行動の生起率,なぞなぞ課題の各反応,生起したプロンプトの種類と回数,各ソーシャルスキルの遂行率,部屋のとび出し回数と視覚的スケジュールに従ってトイレに行った回数,指導者の関わりに対するターン数,問題行動の生起数,KIDS幼児発達スケール,服を脱ぐ行動の達成率,服を着る行動の達成率,友達との関わりの変化,5秒ごとの前方確認行動,冬季歩行時における安全確認行動,冬季歩行時の凍結路面報告回数,コミュニケーションスキルの獲得状況,新版K式発達検査2001の結果,ESCS得点,活動の持続時間がそれぞれ1件ずつ見受けられた。

 これらのことから,未就学の自閉症児を対象とした研究において扱われた変数は,言語行動を対象にしていることが多いことが示された。また,研究において扱われた変数は多岐に渡ることが示された。

介入結果

 抽出された24編の論文において,介入結果は24編すべてにおいて効果が表れ,応用行動分析の有効性が示された。以下に,効果の摘要を示す。 また,主要な情報をTable 24からTable 26に示す。

 対象児にとって,設定場面,自由遊び場面,ごっこ遊び場面の中では,設定場面が最も相互作用が安定して生起し,かつ活動やコミュニケーションのひろがりが見られた(東,2002)。セッション全体の要求言語行動の生起率は大幅に増加した。要求言語行動が,指導者のプロンプトなしでも増加した(石原・青木・望月,2002)。ポジティブな反応が増加した。クレーンによる要求が生起した。唸り声・奇声が漸減した。模倣と思われる音声が生起した。人の刺激に対するポジティブな反応,及び相互作用系列数の増加が見られた。クレーンや接近+注視,音声模倣など,より積極的な対人的反応も観察された。人が弁別機能を持ち,また強化的に機能するようになった。人に対する接近反応が形成された(東,2005)。Th(セラピスト)に対する自発的働きかけ行動の頻度が増加した。一人遊びが多いものの,Thが玩具を渡した後に,すぐに一人遊びを行うのではなく,次の玩具の要求をするなどの行動がみられはじめた。ターン数は少ないものの,セッションの進行に伴って相互交渉をもって過ごす時間が徐々に多くなった。Thに近づいてきて手を触れたり,身体の一部に触れたりする接触行動がみられた。指導開始前に母親との分離を嫌がるような行動(母親の手をもつ,ぐずる)が認められるようになり,指導終了後に母親を見つけると笑顔を見せたり,接近・接触行動を自発したりするようになった。呼名反応がよくなった。自発的かかわり行動の機能にも変化がみられ,注視を伴った物の要求や身体接触の要求などの行動が増加した。母親に対して接近・接触行動が随分増え,相互交渉をもつことが多くなった。指示が通りやすくなった。パニックが減った。働きかけ行動が安定して生起するようになった。要求が明確になってきた(相互交渉のパターンの明確化)。相互交渉の比率,相互交渉における平均ターン数ともに増加した。身体接触を伴った遊びの要求(例えば,Thの手を引いてバンザイする姿勢をとるなど)や,玩具を介しての遊び要求(例えば,Thにミニカーのドアを開けて提示し,Thがドアを閉めると喜ぶなど)がみられるようになり,相互交渉の際の活動レパートリーが増加した。母親の友人に抱かれても嫌がらなくなった。近所の人の呼びかけを無視していたが,反応して振り向くようになった。友人の子どもたちと遊ぶ際に,一人遊びが多いものの,少しは一緒に遊ぶことができるようになった。自閉的な特徴は,多くの評定項目において変化がみられた(高橋・大野,2005)。要求は,徐々に頻度が増加し5ヶ月後に約5倍の要求頻度となった。発声は,初期の頃はほとんど発せられることはなかったが,5ヶ月後,要求頻度に対して約8割から8割5分の割合で出現した。直接的行動やクレーン行動は,初期の頃は単独で出現していたが,5ヶ月後は発声とアイコンタクトが重複されて,明らかに対象者を意識した手段と考えられ,手段の質の向上をうかがうことができた(深澤・後藤・前川,2006)。トレーニングの結果,正反応率が100%まで上昇した。日常事前テストでは無反応や状況を表すだけの反応が多かったが,感情語を用いた応答が可能になった。直接指導を行っていない自己の感情表出に関する項目の評価が高くなった(高階・犬飼・井上,2006)。教示試行における反応選択による指導効果を測るビデオプローブ1条件においては,反応選択ボードという視覚的手がかりがない状態であっても,質問者の質問に対して適切に応答することが可能になり,教示試行における正答率は両対象児とも100%であった。また,この時点では訓練されていない教示不要試行,未知試行における正答率も若干上昇した(犬飼・高階・井上,2006)。感情についての発話数が増えた。模倣割合が増加した。過去の行動の発話は,BL期からWMI期の間にはほとんど生起しなかった(0-2回)が,W&PMI期後は音声模倣が減少し,行動についての発話が増加した(4-12回)。未来の行動についての発話は,WTI期後は音声模倣率が増加した(最大100%)。W&PMI期後も音声模倣率は高く維持され,行動についての発話は6-18回と増加が認められた。乱暴な行動は,物を倒す,物を投げる,人を叩く,人を押す,の計4種を合わせて全体的に減少した(宮本・石倉,2008)。掃除場面設定後,掃除後の自由場面において母親が自発的にA児に関わることが増え,それに伴ってA児の行動問題は平均9.2%に減少した。写真カードによる要求行動の形成は,おやつ場面で写真カードの導入開始直後は「まままま」という発声による要求が生起したため,母親のカードを指差すプロンプトが必要であったが,3日目よりすべての試行で指差しプロンプトなしでA児が写真カードを手に取って母親に手渡すことができるようになった。写真カードの枚数は1枚からはじめ,段階的に2枚,3枚,4枚に増やしていった。選択フェイズでは,ほぼ全ての試行が正反応であった(竹井・五味・野呂,2009)。観察した事実に関する報告言語行動の形成における,訓練期ステージ1(セッション4~10)では,Level4の割合がセッション回数を重ねるたびに増大する傾向が明らかとなった。セッション9~10においては,達成段階Level4での正反応が100%となり,達成基準を満たした。ステージ2(セッション11~13)のセッション12~13においては,Level4の生起率が100%となった。セッション15~16において動作提示者・動詞の誤答もなく,達成段階Level4の正反応が100%となった(肥後・福田,2013)。SST期では,貸してスキルの自発による遂行率が,SST開始直後の#2で100%に達し,その後も80~100%の遂行率を保った。もう少し待ってスキルは,自発による遂行率が増加した。3カ月後のFollow upでは,各ソーシャルスキルの自発による遂行率が100%であり,維持が確認された。A児が同年代の子どもと適切に物を貸し借りしながら,ままごと等の遊びを行うことができるようになってきたと報告があった。物の貸し借り場面における同年代の子どもとのトラブル状況に関しては,おもちゃや道具を奪う行動や,「ダメ,ダメ,ダメ」と執拗に声を荒げる行動が見られなくなったと報告があった(半田・平嶋・野呂,2014)。本研究に参加したすべての自閉症児において,絵カードを用いた要求行動を構成する行動の正反応率,アイコンタクトおよび発声・発語の生起率が増加した。また,3名の動作模倣の正反応率の増加が見られた(宮崎・加藤・井上,2014)。介入1の視覚的スケジュールの活用によるトイレに頻繁に行く行動の予防は,あらかじめ設定されたトイレのスケジュールにしたがって行くことができるようになった。介入2のPECSによるトイレ要求の指導は,自立してトイレ要求の文構成ができるようになった(今本・門司,2014)。声かけに対して,はじめのうちは反応がなかったが,何度か続ける中で,本児は少し絵を描いては指導者の方をうかがうようになった。本児から「今日,何曜日?」という問いかけがあった。指導者の肩に手をかけ,覗くように絵本を見ようとした。指導者は,「ここに座ってみるかい?」とたずねると,本児は指導者の膝に座り,絵本読みに耳を傾けている様子だった。指導者が「うどんの具,いらないの?取りに行っておいで」と言うと,本児から「先生,持ってきて」という反応が返ってきた。本児から「お箸,食べるとどうなるの?」と聞いてきた。総練習時に指導者が本児に付き添う形で抱っこしていっしょに各組の発表をみていたとき,本児から「今,何番?」という問いかけがあった(佐藤,2015)。しっぽとりで,お面を「かして」という要求が生起した。「よーいどん」という遊びの開始が生起した。STにしっぽをつける,STにしっぽをくばるという遊びの誘いが生起した。「しっぽ」「おに」という命名や,「とれた」「あーあ」という報告が見られた。お店屋さんでは,「いちご」「めろん」など商品の命名が生起した。遊びに誘う前に自分で商品を選び出すという遊びの開始行動が見られた。商品を並べた後にSTに対して「こんにちは」と呼びかけたり,STをお店の方まで連れて行ったりする遊びの誘いが見られた(藤原・園山,2015)。日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙における表出語彙項目は3名中2名が上昇,助詞項目は3名とも上昇,助動詞項目は2名が上昇,文の複雑さ項目は1名が上昇。KIDS幼児発達スケールにおける子どもの社会性は3名とも上昇,成人社会性も3名とも上昇,問題行動は3名とも減少(松崎・山本,2015)。ズボンを穿く行動については,最後日のみ得点率が100%になった。「服を前後上下正しく置く」については,A条件が始まっても効果が見られず,達成率が不安定なままであったが, B条件を行った結果,18セッションから達成率の上昇傾向が見られ22セッションでは達成率が100%になった(金喬・米山,2016)。注目は,お店屋さん,夏祭り,魚屋さん,お店屋さんと魚釣りの全てで上昇した。始発は,魚屋さん,お店屋さんと魚釣りで上昇した。応答は,お店屋さん,夏祭り,魚屋さん,お店屋さんと魚釣りの全てで上昇した(朴,2017)。クラスワイドな支援期において,学級園児の不規則発言の減少があった。A児の適切行動は,やや増加した。学級園児の適切行動は,明確に増加傾向が見られた。個別支援期において,A児の不規則発言は減少,適切行動は増加した。学級園児の適切行動は,やや増加した。フォローアップ期において,A児の不規則発言は徐々に減少した。学級園児は,やや減少した。A児,学級園児の適切行動は維持されていた(佐囲東,2017)。夏季交通安全指導において,前方確認行動のベースラインにおける適切な行動の前方確認行動は,大幅な上昇が認められた。ポストテストでは,前方確認行動の維持が認められた。冬季交通安全指導において,安全確認行動は,トレーニング期で安定して安全確認行動ができるようになり,平均95.1%の生起率となった。ポストテストでは,平均98.5%と高い割合で生起する結果となった。凍結路面の報告では,トレーニング期に増加傾向が認められた。ポストテストでは,安定して報告する結果が認められた(石塚・濱野・大窪・小林・増子・佐賀美・金曽,2018)。介入1において,本試行の「音声→動作→絵カード」では,動作生起率がブロックを重ねるごとに増加し,100%で安定した。一方,絵カード選択では約50.0%とBLと比べてやや増加。介入2において,本試行の「音声→動作→絵カード」では,全試行で指導者の音声教示に対応する動作を表出することができた。また,絵カード選択の正反応率が平均85.0%まで上昇し,32・33ブロックで連続100%に到達した。1か月後の維持では,指導者の動作を提示しなかったものの,A児は自発的にすべての試行で音声と対応した動作を生起し,絵カードも100%正しく選択することができた(平野・佐々木・野呂,2018)。A児の弁別刺激化手続きでは,正反応数が増加傾向を示した。プローブ期では,正反応数がいったん減少したが,徐々に増加傾向を示した。C児は,選択肢を提示すると,自己刺激行動を止めて選択する様子がみられた(白井・佐々木・野呂,2019)。コミュニケーションスキルの獲得状況では,ベースライン時は7項目だったが,2か月後の最終日には獲得したスキルが27項目まで増えた。音声模倣は訪問3回目に3種類獲得でき,最終日には7種類のスキルを獲得した。物の名前づけでは,訪問5回目は3種類のみであったが,最終日には13種類の物の名前づけが可能となった。新版K式発達検査2001の結果では,認知・適応領域で52から62,言語・社会領域で37から43に改善した。実生活での変化では,スムーズに要求が伝えられるようになり癇癪を起こす回数が減った。保育園での変化では,名前を呼ばれると,手をあげて応答することができるようになった(発声はなし)。以前は園庭で石を拾うなどの独り遊びが中心だったが,表情やしぐさで鉄棒に掴まらせてほしいなど,先生に要求するようになった。ダンスへの関心が高まり,動きを真似することで,他の園児と一緒にダンスができるようになった(倉澤・泉谷・武淵・塩津・横井,2019)。要求場面の視線移動の介入期では,セッション4から8までは全プロンプトを行い,生起率は50%から100%となった。部分プロンプトになると,生起率は0%から60%を推移した。プローブ期になると,生起率は60%から90%となった。般化テストでは,人般化条件で70%,要求物般化条件では100%の生起率であった。また,フォローアップ2期では100%を維持していた。反応型共同注意場面の視線移動の介入期では,即時プロンプトをしていたため,標的行動(a),(b)ともに生起率は100%となった。遅延プロンプトになると,標的行動(a)(b)は20%から50%の生起率となった。対象児の左右への首振りは減り,支援者Aのほうに視線を向けていた。プローブ期になると,介入期と同様に支援者Aに視線を向け続ける行動が多くみられ,(a)の標的行動は30%から33%,(b)の標的行動は22%から33%の生起率となった。介入2期の即時プロンプトでは,標的行動(a)の生起率は100%,標的行動(b)では50%から100%であった。遅延プロンプトになると,標的行動(a)は100%,標的行動(b)は70%から100%となった。プローブ2期では,標的行動(a)(b)の生起率は60%から100%の間を推移しており,生起率は維持した(青木・野呂,2020)。

考察

 抽出された24編の論文において,考察は24編すべてにおいてポジティブな考察がなされ,応用行動分析の有効性が示された。以下に,ポジティブな考察の摘要を示す。また,主要な情報をTable 27からTable 29に示す。

 対象児が,コミュニケーションの問題を抱えやすい自閉症児であるということから考えると,ごっこ遊びのような抽象性の高い活動はその文脈の理解が困難であり,結果として自発・反応とも低く,相互作用が成立しなかったのではないかと考えられる。つまり,イメージ化,抽象的思考を要する抽象性の高い活動の中で,他者からの始発反応を弁別刺激として反応すること,活動を弁別刺激として自発的に反応することが困難であったと考えられる。設定場面は,他の場面と比較して,相互作用数,連鎖数とも多かった。これは,他と比較して設定場面が文脈の理解,文脈内での役割の理解,またそこで行う反応型についても明確であり,対象児にとって状況を弁別し,反応することが可能であったと考えられる。すなわち,対象児にとって弁別可能な具体的な課題設定であったと考えられる。この結果,自閉症児のコミュニケーションを拡大するためには,活動や場面の具体性が高く,文脈やそこで求められる反応型などが明確なパターンの活動設定をすることが重要になるのではないかと考えられる(東,2002)。遊び場面における要求言語行動の自発は,写真選択を導入することによって増加した。この要求言語には,写真パネルの選択肢にないものを特定する発語がかなり含まれるようになった。つまり,本児は要求文脈状況一般において要求言語行動を自発するようになった。これは,条件性確立操作によって生じた要求文脈と事物の特定化を結びつけるようになった本児が,遊びや家庭場面の中で自然に生じた要求文脈に対しても事物の特定を伴う命名反応を般化的に自発し,これを可能な限り即時的に強化したことにより成立したものと考えられる(石原他,2002)。対人的音声反応の形成には,自閉症児にとって嫌悪刺激として機能しやすい「人」刺激の嫌悪性の減少と,「人」を含んだ社会的な刺激に対する弁別機能の付与が必要である。これは,自閉症児は「人」を含んだ社会的な刺激が弁別刺激として機能しにくいということも指摘している(東,2005)。本児例の結果から,年齢が低く,行動レパートリーが少ない(他者との相互交渉の経験が乏しい)対象児においては,働きかけの自発機会と自発する行動の種類が限定されないという設定のみでは働きかけ行動の自発を指導することが困難であり,こだわり行動なども利用して先行事象の操作を行うことで,他者に対して働きかける機会を増加させ,一連の行動連鎖のなかに他者を介在させる工夫の必要性が示唆された。また,そのような先行事象の操作を行うことで,他者からの応答行動が社会的強化刺激としての機能をもちやすくなり,そのことにより,後続事象による制御が多様で有効性の高いものになることが示された。指導場面以外でも,養育者に対する働きかけ行動が増加したことや,養育者以外の大人との関係においても変化がみられたことも報告されており,般化は認められたと考えられる。本児例では,特殊な道具(玩具)は使用しないで,できるだけ自然な文脈のなかで,単一の行動ではなくClの働きかけ行動のすべてを強化するという方法を用いたため,Thのかかわり方が,母親にとって普段の生活場面におけるかかわり方のモデリングとして有効に機能したためではないかと考えられる(高橋・大野,2005)。指導の前半は比較的シンプルな行動だったが,指導の後半期になると,A児は一つの要求に,カード,アイコンタクト,発声など様々な伝達手段が重複され,この要求にはこの手段と使い分けるのではなく,色々な方法を使って相手に伝えようとしていて,要求手段そのものが高次化してきた。これらの結果から,コミュニケーション指導プログラムは,自閉性障がいの子どものコミュニケーション行動を促進するために有効であることが明らかになった(深澤他,2006)。トレーニングの結果,訓練で使用した場面カードについて適切な反応が可能となったが,未訓練場面への般化は認められなかった。一方で,日常場面で実施したテスト及び質問紙においてはその効果が確認できた。課題間般化が起きなかった要因として,1つはトレーニングでしようした課題と未訓練課題の内容の類似性が低かった点が挙げられる。2つ目の要因として,トレーニング後においてもネガティブな3つの感情(かなしい,おこっている,こわい)の間の弁別が依然として困難であったことが考えられる。一方で,日常場面で一定の効果が確認できたのは,他者感情理解課題のトレーニングによって,S1は質問に対して感情語で応答する行動が形成され,S2は「笑っている気持ち」といった情緒状態語ではなく感情語を使用した応答が学習されたためと考えられる(高階他,2006)。S1においては,現実場面において,他者の情報要求事態や他者の「知識」に応じて教示言語行動を自発することが可能となったが,S2においては,他者の情報要求事態や他者の「知識」に応じて分化的に教示言語行動を自発することが困難であった。両対象児ともに,ビデオ映像中の他者の困難状況や他者の持つ知識について反応選択による指導を行い,指導した場面では適切に応答することが可能となっても,それが別の場面で機能的に分化することは困難であった(犬飼他,2006)。1語文レベルにおいて要求等の機能的発話を獲得した自閉症児1例を対象に共同注意場面を基盤にしながら自然な文脈での子どもの自発的な遊びや発話に対してモデルを提示する方法で指導を実施したところ,自分の行動や感情についての発話を獲得し,同時に乱暴な行動が減少した。このことから,本児例に対する比較的自由な文脈での相互交渉型指導の結果,新たな言語機能の獲得という点で有効性が示唆された。感情についての発話数は,ことばのモデル導入(WMI)期を経てことばと遊びのモデル導入(W&PMI)期後に急増した。遊びのモデルが加わったことにより,楽しさなど快の情動を体験する機会が増加したことが表出の増加を助長したのではないかと考えられる。また,行動についての発話数に関しては,WMI期に,まず未来の行動についての発話が増加した。未来の行動についての発話は本児にとって最も模倣しやすかったのでないかと推測される。W&PMI期に現在の行動についての発話,過去の行動についての発話が増加した。また,感情についての発話,行動についての発話の増加に伴い,指導室,保育所,家庭の3場面での乱暴な行動の減少が認められた。本児が感情についての発話を獲得したことにより,感情表現の手段がより伝達的な方法に変化したのではないかと推測される(宮本・石倉,2008)。掃除場面を設定することで母親がA児を強化できる機会を導入すると,行動問題は減少して低頻度で推移し,A児と母親の関りは大きく増加した。掃除用具の選択と強化子の導入によるA児の掃除従事行動の増加と,モデルの提示と定期的なパフォーマンス・フィードバックの実施による母親の教示・指示,援助・賞賛の増加が相互に作用し,互いの行動を強化していたと考えられた。子どもが行動問題ではない方法で正の強化を得る機会を増やすことができた点は,本研究の成果のひとつと考えられた。掃除場面の設定ⅡでA児の掃除行動と母親の援助行動や賞賛が高い頻度で安定するようになると,自由場面においてもA児と母親のポジティブな関りが増加した。これは,掃除場面における母親のA児に対する誘いかけや援助,賞賛をする行動が自由場面に般化したことが主な理由と考えられた。一方,写真カードによる支援のみを導入したフェイズでは,A児の行動問題は減少傾向ではあるものの十分には低減せず,母親との関わりも増加しなかった。A児の行動問題は要求が消去あるいは遅延された場合だけでなく,多くは母親の注目を得るために行われていた。写真カードによる要求対象が母親の注目を得にくい活動であったことも,行動問題が減少しなかった理由のひとつと考えられた(竹井他,2009)。一連の報告言語行動の指導の課題系列は,「なぞなぞ遊び」の形式をとる報告言語行動の形成において有効に機能したと考えられる。第1の「観察した事実に関する報告言語行動の形成に関する課題」の実施の必要性は,社会的般性強化刺激の強化価を高める手続きとして必要であったというものである。指導者は,A児の報告後,「見てくれてありがとう」と感謝したり,「助かったよー」と伝えたりしながら本人の効力感が向上するような社会的強化刺激(笑顔,お礼,承認,賞賛)を提示した。これらのことからも,経験はA児と指導者の関係性を深める上で重要な働きをしていたと考えられる。また,これらの経験は,A児の人への情報提供や会話への関心を高め,より複雑な報告言語行動の学習の動機づけをささえる前提条件として機能したと考えられる(肥後・福田,2013)。ビデオモデリングを用いたSSTの結果,行動観察において,A児の貸してスキルともう少し待ってスキルの自発による遂行率の増加と,3ヶ月後のFollow upでの維持が見られた。本研究では,機能的アセスメントに基づいたSSTが,A児のソーシャルスキルの獲得と維持に有効であったと明らかにされた。本研究で実施したSSTの中で,A児のソーシャルスキルの獲得に有効であった訓練手続きとして,ビデオモデリングが挙げられる。ビデオモデリングをSSTで実施した際,A児はビデオにすぐに興味を持ち,注意を継続的に向けることができており,ビデオの内容も1~2回観察すれば理解できた。A児の好む演者が登場するビデオを用いたことからも,A児のソーシャルスキルの獲得を促進したと考えられる。A児は,Follow up期間において,保護者による強化随伴性に晒されていたと考えられる。日常生活でのA児のソーシャルスキル遂行への保護者による強化随伴性が,A児のソーシャルスキルの獲得と維持に寄与したと考えられる(半田他,2014)。PECSの訓練手続きに動作模倣を取り入れることで,アイコンタクトおよび発声・発語が促進されることが示唆された(宮崎他,2014)。療育場面で視覚的スケジュールを利用してトイレの予定を伝えることで徐々に活動中に勝手にトイレに向かってとび出す行動の頻度が少なくなった。それと同時にトイレ内で水遊びをするというこだわり行動はなくなった。PECSを活用してトイレ要求を指導したところ自立して要求ができるようになった。家庭において車内にトイレ要求の絵カードを設置してもらったところ,外出先で自発的なトイレの要求が見られ,場面への般化と有用性が確認できた(今本・門司,2014)。1セッション中における指導者に対する関心,それに対する応答というパターン数が増加した。また質的変化として,指導場面以外において,指導者に対する問いかけや接近要求も見られた。指導開始前の予備観察では,指導者の声かけに対して何ら反応はなかった本児が,指導者に対して興味関心を示し,かかわる行動が増加した(佐藤,2015)。遊びの条件が,遊びスキルの獲得や般化に影響を与えた。特に,対象児にとってのルールの分かりやすさと好みが,遊びスキルの獲得と般化に影響を与える。対象児の認知特性を考慮した遊びの選定や,認知特性に応じたルールの工夫などが必要である。対象児の好みである動機づけが高い遊びの場合は,役割の交替を含むルールであっても,スキルを獲得できる場合がある。対象児の好みとなる要素が遊びに含まれていることも遊びを選定する上で重要な条件となる。「お店屋さん」のように般化場面で頻繁に行われている遊びであれば,スキルが獲得しやすく,般化しやすい可能性がある。社会的遊びの指導において遊びを選定する際には,対象児に必要となる運動スキルがあり,幼稚園で実施可能であることを前提とし,1対象児の好みである,2対象児にとってルールが分かりやすい,3般化場面でよく行われているといった条件が当てはまる遊びであれば,スキルを獲得し般化することが予想される。遊びの中で生じる社会的相互交渉が,自閉症スペクトラム児にとって強化となる。社会的遊びに対する動機づけが低い自閉症スペクトラム児であっても,そのスキルを獲得することで,社会的遊びに対する動機づけが高まる可能性がある。また,社会的相互交渉について直接的な指導を行わなくても遊びスキルの指導を行うことで,社会的相互交渉の開始が増加すると考えられる(藤原・園山,2015)。子どもの発達と支援に関する基礎的知識と技術を有している保育士を対象に,研修プログラムを実施したことで,効率的に支援技術を向上させることができた。効果的・効率的な研修を実施することで,保育士はエビデンスのある支援方法を習得することができ,支援を必要とする子どもたちは個々のニーズに応じた支援を地域で受けることが可能になる(松崎・山本,2015)。介入の結果,着替え全体については,A児が抵抗なくスムーズで着替える行動が多く見られるようになった。ベースライン期ではA児は自分のできないこと(特に服を脱ぐこと)に対して抵抗感があり,服や身の回りの物を投げたり,指導者や母親を叩いたり爪で引っかいたりするような攻撃行動や自分の頭と顔を叩くような自傷行為が頻繁に出現していたが,指導者からの身体的プロンプトを受けながら徐々に一人でできるようになり,不適切な行動が減少していった(金喬・米山,2016)。ふり遊びにおける標的行動の生起率とベースライン時を比較すると行動生起数は増えた。この結果から,X教室の自由遊び場面で,20分間意図的にふり遊びを実施することで,子ども同士の関わりを促すことができたと考えられる。ふり遊びの導入で子ども同士の関わりを促すことができたのは,自由遊びとふり遊びの環境設定の違いにある。自由遊びは,子どもたちが自分で興味のある遊具を自由に選択し,遊べる環境であった。一方,ふり遊びは,最初から決められたシナリオに基づき,大人の誘導により遊びが展開され,その中で子どもたちは遊びに対するイメージを共有し,同じ遊びを全員で行う環境であった。この環境設定は,他児への注目が低かった対象児たちにとって,お互いに注目しやすい環境であったと推測できる(朴,2017)。クラスワイドな支援の効果におけるCSST(クラスワイド・ソーシャルスキルトレーニング)の実施は,問題行動と同時に出現し得ない向社会的スキル(傾聴,発言行動)を標的行動に選択し,指導することで,否定的な行動が減少する一方,肯定的な行動が増加したと推察される。めあて&自己評価カードの効果は,傾聴・発言ルールを目標として明文化し,机上に掲示することは,園児が常に目標を視覚的に意識することにつながった可能性が示唆される。また活動後に園児が自己評価することは,園児自身がフィードバックを得る機会を確実に確保できた。その他の方略では,担任の指示の改善,事前ルールの提示については,朝の会で担任の発問,指示,説明が明確になった。さらに傾聴・発言ルールを守らせることを担任が意識したため,ルールの事前提示が多くなり,園児の適切行動の増加に効果があることが推察された。以上のことから,クラスワイドな支援は,学級園児の不規則発言を減少させ,適切行動を増加させることに効果があることが示唆された。個別支援の効果では,A児が授業文脈に即した行動をとっているときに,即時に声をかけること,机間指導時に声をかけること,5分間隔ごとに声をかけること,視線を向けるという個別支援を行うことで,A児への注目を増やすという個別支援は問題行動の減少に効果があったと推察される。担任は,A児が不規則発言をしているときは,A児の周囲の園児で傾聴行動をとっている園児をほめ,A児が不規則発言を中止した直後にほめる個別支援を多用していたが,学級全体の園児の適切行動の増加がA児の適切行動を促すモデルとして機能したとも推察される。クラスワイドな支援を実施することは,学級全体を安定させ,学級園児への個別支援の実施が容易になることが推察される。A児と学級園児の問題行動への支援を同時に実行しなかったことは,支援計画の実施上の負担感の低減に繋がったと推察される。幼稚園における支援は,小学校の通常の学級の報告と同様に集団として学級経営が機能した状況において,個別支援を実施するという支援過程が有効であったと推察される(佐囲東,2017)。夏季交通安全指導において改善が認められた理由は2つある。1つは,買い物に行く前に前方確認行動の重要性を教示したこと。事前指導により,Y児が前方確認行動をして歩くことが正しい行動であることを学習したと考えられる。もう1つは,トークン・エコノミー法による適切な行動の評価である。冬季交通安全指導のベースライン期には何度か滑って転倒していたY児だが,トレーニング期に転ぶことは無かった。トレーニング期から行った冬道歩行方法の学習の成果と考えられる。指導前の教示と,トークン・エコノミー法による行動の強化が,Y児の冬季歩行方法を望ましい形へと導くことができた。本研究を通し,問題行動のみられた児童に対する積極的行動支援に基づく課題分析及びトークン・エコノミー法の活用が有効であることが示された(石塚他,2018)。「絵カード→動作」指導を行った介入2では,絵カード選択の正反応率が100%まで到達した。この要因として,「絵カード→動作」の指導と合わせて「動作→絵カード」」の対象律が成立した可能性が挙げられる。介入1における「音声→動作」の関係性と組み合わせて,「音声→動作→絵カード」が成立したと考えられた。本研究の結果から,「音声→絵カード」の獲得には,見本刺激である音声と比較刺激である絵カードの両方に対して動作による反応分化手続きを実施する必要があることが示された。また,本研究の実践的な示唆として,物の名称理解に困難を示すASD児においては,対象とする物品や絵カードを提示しながら,指導者が物品の音声とともに,その音声と対応する動作を提示することが有効な指導法である(平野他,2018)。A~C児のプレテストとBL期の結果から,選択テストは重度知的障がい幼児の選択行動における困難を適切に予測することが明らかになった。弁別刺激化手続きは,A児の選択行動に対し有効な介入方法だったと考えられる。また,選好アセスメントに基づく選択肢の再構成は,B児とC児の選択行動に対して有効な介入方法であった(白井他,2019)。本実践では,母親を中心としたセラピー(DTTまたはPRT)は週5~7時間であり,OTによる訪問コンサルテーション,外来での施設ORおよびSTセラピーを合わせても週10時間に満たなかった。しかしながら,動作模倣や音声模倣などのコミュニケ-ションスキルは順調に獲得できた。また,マッチングや動作模倣・音声指示が寄与した可能性が示唆された。実生活において,着席時間が増えたこと,癇癪を起こす回数が減り時間も短くなったこと,返事や模倣行動など人との関わりに変化が生じたことなど,家庭内だけでなく,保育園や障がい者福祉施設においても改善が認められた。対象児が獲得したスキルが生活場面で般化された背景として,行動コンサルテーションによる療育に関わる専門職および家族を巻き込んだこと,PRTを導入し生活の中で自然にセラピーを取り入れたことが寄与したと考えられる(倉澤他,2019)。要求場面の視線移動について,プロンプト,プロンプト・フェイディング,分化強化の介入により要求場面の視線移動の生起率は上昇した。このことから,言語・社会領域の発達年齢8ヶ月の重度知的障がいのあるASDにおいても,要求場面の視線移動の指導の有効性が示された。また,反応型共同注意について,介入期の指導結果から変更した介入2期の指導が効果を示した結果は,介入によって結果がみられなかったASD児に対して,セッティング,プロンプト,強化子の観点から分析を行い,介入手続きの変更を行うことの重要性を示唆していると考えられる(青木・野呂,2020)。

考察

 本論考では,日本における2000年以降の早期発達支援の研究論文24編から,Lovaasの手法で課題となった行動の般化,自発性,維持・拡大の問題を克服するために,どのような早期発達支援を行えばよいのか,アセスメント,環境設定,技法,遊びの導入,強化の観点から考察する。主要な情報をTable 30,Table 31に示す。また,母親支援の重要性と早期発達支援の展望を述べる。

Table 30,31

般化

 行動の般化の問題を克服するための有効な介入方法を以下に示す。また,主要な情報をTable 30に示す。

 アセスメント及び遊びの導入の観点より,社会的遊びの指導において遊びを選定する際には,対象児に必要となる運動スキルがあり,幼稚園で実施可能であることを前提とし,(a)対象児の好みである,(b)対象児にとってルールが分かりやすい,(c)般化場面でよく行われているといった条件が当てはまる遊びであれば,スキルを獲得し般化することが予想される(藤原・園山,2015)。したがって,般化を促すには,対象児が好む遊び,ルールが分かりやすい遊び,般化場面と類似性のある遊びを選択するためのアセスメントと,手続きに遊びを導入することが有効である。

 技法の観点より,指導場面以外でも養育者に対する働きかけ行動が増加したことや,養育者以外の大人との関係においても変化がみられたことから,フリー・オペラント技法による般化の有効性が示された(高橋・大野,2005)。フリー・オペラント技法は,先行刺激による制御を最小にし,後続刺激による制御を最大にするオペラント強化手続きに重点を置いた技法である(嶋崎,1990)。しかし,高橋・大野(2005)は,本研究の対象児の年齢が低く,自発的な働きかけ行動がほとんど生起しない状態であったことから,先行事象の操作として,構造化された要求場面を設定して指導を行った。ただし,この構造化は,行動を限定するような弁別刺激や行動機会の制限ではなく,対象児のこだわり行動を利用して,自発的な働きかけ行動が強化される機会を増加させるような確立操作を導入したことが興味深い。このように年齢の低い子にフリー・オペラント技法を活用する際,本研究のように行動の制限ではなく,行動機会が増加するような確立操作を柔軟に行うことが有効である。また,PECSを活用してトイレ要求の指導をしたところ,自立して要求ができるようになった。その後,家庭において車内にトイレ要求の絵カードを設置してもらったところ,外出先で自発的なトイレの要求がみられ,場面への般化と有用性が確認できた(今本・門司,2014)。したがって,働きかけ行動を増加させるにはフリー・オペラント技法が有効である。また,年齢の低い子にフリー・オペラント技法を活用する際は,行動の制限ではなく,行動機会が増加するような確立操作を柔軟に行うことが有効である。さらに,トイレの要求行動を般化させるにはPECSが有効である。

 遊びの導入及び強化の観点より,条件性確立操作によって生じた要求文脈と,事物の特定化を結びつけるようになった本児は,遊びや家庭場面の中で自然に生じた要求文脈に対しても事物の特定を伴う命名反応を般化的に自発した。これを可能な限り即時的に強化したことにより般化が成立した(石原他,2002)。したがって,般化を促すには,支援手続きに遊びを導入し,即時強化することが有効である。

 強化刺激の観点より,掃除場面の設定でA児の掃除行動と母親の援助行動や賞賛が高い頻度で安定するようになると,自由場面においてもA児と母親のポジティブな関わりが増加した。これは,掃除場面における母親のA児に対する誘いかけや援助,賞賛をする行動が自由場面に般化したことが主な理由である(竹井他,2009)。したがって,般化を促すには,母親から子どもへの援助行動や賞賛が有効である。

 このようなことから,行動の般化を促すには,対象児が好む遊び,ルールが分かりやすい遊び,般化場面と類似性のある遊びを選択する,フリー・オペラント技法,PECSを活用する,手続きに遊びを導入する,即時強化する,母親から子どもへの援助行動や賞賛が有効である。

自発性

 行動の自発性の問題を克服するための有効な介入方法を以下に示す。また,主要な情報をTable 30に示す。

 アセスメントの観点より,しっぽ取りやお店屋さんの遊びにおいては,自発的な遊びの開始がみられたが,中当てでは自発的な開始行動はみられなかった。このことは遊びスキルを獲得していくことで,遊びの中で生じる社会的相互交渉は,対象児にとって好みの活動になっていったことを示している(藤原・園山,2015)。したがって,自発性を促すには,好みの活動のアセスメントが重要である。

 アセスメント,環境設定及び強化の観点より,対象児の自発的な反応や接近反応・注視,奇声以外の明瞭な発声に対して分化強化手続きを導入することで,それらの反応が増加した。また,コミュニケーションの基礎である人の刺激に対するポジティブな反応,及び相互作用系列数の増加が見られた。このことは,手続きの導入によって人が弁別機能を持ち,また強化的に機能するようになったからである(東,2005)。また,強化刺激のアセスメントを行ったうえで嫌悪刺激として機能するそれらの刺激を排除して,対象児の回避が生じない状態で接近を行うことで人の嫌悪性が減少する。また,同時により積極的な接近反応に対して分化強化手続きを導入することが重要である(大野,1990)。したがって,自発性を促すには,強化刺激のアセスメント,嫌悪刺激を排除する,接近反応に対して分化強化手続きを導入することが有効である。

 環境設定の観点より,対象児にとってクレーン車を製作する設定場面が最も相互作用が安定して生起し,かつ活動やコミュニケーションのひろがりが見られた。対象児が,コミュニケーションの問題を抱えやすい自閉症児であるということから考えると,ごっこ遊びのような抽象性の高い活動はその文脈の理解が困難であり,結果として自発・反応とも低く,相互作用が成立しなかったのではないかと考えられる。つまり,イメージ化,抽象的思考を要する抽象性の高い活動の中で,他者からの始発反応を弁別刺激として反応すること,活動を弁別刺激として自発的に反応することが困難であったと考えられる(東,2002)。したがって,自発性を促す環境設定は,抽象性の高いごっこ遊びや自由遊び場面よりも,クレーン車を製作する等の設定場面が有効である。

 環境設定及び強化の観点より,先行事象の操作として構造化された要求場面を設定して指導を行った際,構造化の目的は,行動を限定するような弁別刺激や行動機会の制限ではなく,対象児のこだわり行動を利用するものであった。また,自発的な働きかけ行動が強化される機会を増加させるような確立操作を導入することであった。さらに,Clの働きかけ行動に対して言語賞賛・拍手を随伴させることで,Thの応答行動(充足行動)や拍手・賞賛などの社会的刺激を条件性強化刺激として機能させることであった。このように,Clの行動連鎖のなかに人を介在させる工夫で,自発的働きかけは大きく増加した(高橋・大野,2005)。したがって,自発性を促すには,構造化された要求場面を設定する,工夫を凝らした確立操作を導入する,強化刺激を随伴させることが有効である。

 遊びの導入の観点より,遊び場面における要求言語行動の自発は,写真選択を導入することによって増加した。この要求言語には,写真パネルの選択肢にないものを特定する発語がかなり含まれるようになった。つまり,本児は要求文脈状況一般において要求言語行動を自発するようになった(石原他,2002)。したがって,自発性を促すには,パネル選択を使用した遊びの導入(条件性確立操作)が有効である。

 このようなことから,自発性を促すには,対象児の好みや強化刺激をアセスメントする,嫌悪刺激を排除する,構造化された要求場面を設定する,工夫を凝らした確立操作を導入する,抽象性の高いごっこ遊びや自由遊び場面よりも設定場面を用意する,接近反応に対して分化強化手続きを導入する,手続きに遊びを導入する,強化刺激を随伴させることが有効である。

維持・拡大

 行動の維持・拡大の問題を克服するための有効な介入方法を以下に示す。また,主要な情報をTable 30,Table 31に示す。

 アセスメントの観点より,掃除場面の設定で母親の叱責・注意がわずかに増加したが,この叱責や注意は冷蔵庫を開けるという事物の獲得の機能をもつ行動に対するものであって,注目要求の機能をもつ行動に対するものではなかった。そのため掃除場面および自由場面における適切な注目に基づく相互作用の維持,増加には支障がなかった(竹井,2009)。したがって,相互作用の維持,増加を促すには,その子がもつ機能を把握し,その機能を満たすことが有効である。

 アセスメント及び遊びの導入の観点より,好みの高い作業,あるいは選択条件のときに作業従事行動が長くなるという結果から選択するものの好みが対象者のパフォーマンスに影響を与えている可能性を示唆している。まず,好みのものを選択することに加え,好みのものでなくとも指導者と楽しく遊んだ結果,その活動をまた選択するといった好みの変化があったことがあげられる。また,活動の内容についても,指導者と遊ぶことでより適切なものへと変化していった(石原,2002)。したがって,行動の拡大を促すには,子どもの好みを考慮する,また好みのものがなくても楽しく遊ぶなどして子どもが好む状態をつくりだすことが有効である。

 環境設定の観点より,自閉症児のコミュニケーションを拡大させるためには,活動や場面の具体性が高く,文脈やそこで求められる反応型などが明確なパタンの活動設定をすることが重要になる(東,2002)。したがって,コミュニケーションを拡大させるための環境設定は,具体性の高い設定場面を用意することが有効である。

 技法の観点より,保護者から聞き取った各対象児のコミュニケーション行動の様子から,アイコンタクトや発声・発語,PECSは家庭や保育園などの日常生活場面で維持されている。これらのことから,本研究でPECSに動作模倣を取り入れることで獲得されたアイコンタクトや発声・発語は機能的に使用されている(宮崎他,2014)。したがって,維持を促すには,PECSの要求場面において,対象児が絵カードをコミュニケーション・パートナーに渡した後に動作模倣を取り入れる方法が有効である。また,フリー・オペラント技法を用いて,対人関係の改善を試みることを目的としたところ,かかわり行動の量的変化として,1セッション中における,指導者に対する関心,それに対する応答というパタン数が増加した。また,質的変化として,指導場面以外において,指導者に対する問いかけや接近要求などもみられた。指導開始前の予備観察では,指導者の声掛けに対して何ら反応がなかった本児が,指導者に対して興味関心を示し,かかわる行動が増加した(佐藤,2015)。したがって,行動の増加を促すには,先行する事象としての場所が,何よりもその子にとって,安心・安全な場所として保障されるフリー・オペラント技法が有効である。また,CSSTの実施は,問題行動と同時に出現し得ない向社会的スキル(傾聴,発言行動)を標的行動に選択し,指導することで,否定的な行動が減少する。めあて&自己評価カードの効果について,傾聴・発言ルールを目標として明文化し,机上に掲示することは,園児が常に目標を視覚的に意識することにつながった可能性が示唆される。担任の指示の改善,事前ルールの提示については,朝の会では担任の発問,指示,説明が明確になった。さらに傾聴・無言ルールを守らせることを担任が意識したため,ルールの事前提示が多くなり,園児の適切行動の増加に効果があると推察される(佐囲東,2017)。したがって,クラスワイド・ソーシャルスキルトレーニングは,学級園児の不規則発言を減少させ,適切行動を増加させることに有効である。また,A児の初期段階の要求手段から対象者が要求を察知して応じた結果,A児は意思が伝わる心地よさを感じたと考えることができる。これは,A児の相手に伝えたいという意欲の向上が,初期から約5倍に伸びた要求頻度の増加に表れている。また,カード,ポインティングの出現率が上がってきたのも,相手に確実に伝わる,簡単に伝えられるという実感をA児が持っているからだと思われる(深澤,2006)。したがって,意欲を向上させ行動を増加させるには,対象者へ関心を向けること,要求手段の表出,伝達意欲の向上を目的としたコミュニケーション指導プログラムが有効である。また,自発的な働きかけ行動のレパートリーの増加と機能の多様化を目的として,強化遅延手続きを導入した。手続きとしては,要求行動に対して即座に応答するのではなく,発声やより明確な働きかけ行動が生起するまでThの応答行動(要求充足・言語賞賛・拍手など)を遅延させた。その結果,平均ターン数や相互交渉の占有率は増加し,働きかけ行動の機能も,身体接触を伴う遊びや物を媒介とした遊びの要求が増加するなど,多様化していった(高橋・大野,2005)。したがって,行動の増加を促すには,強化遅延手続きが有効である。

 遊びの観点より,ことばと遊びのモデル導入後は,遊びが広がり,遊びが広がることでさらに感情表現が豊かになり,言語表出の意欲が高まった。また,模倣が毎回比較的多く生じ,自発的に自分の感情をことばで表現するようになった(宮本・石倉,2008)。したがって,感情を表現する発話の増加を促すには,ことばのモデル導入だけでなく遊びのモデルを導入することが有効である。

 このようなことから,維持を促すには,PECSの要求場面において,対象児が絵カードをコミュニケーション・パートナーに渡した後に動作模倣を取り入れる方法が有効である。また,相互作用の維持,増加を促すには,その子がもつ機能を把握し,その機能を満たすことが有効である。行動の拡大を促すには,子どもの好みを考慮する,また好みのものがなくても楽しく遊ぶなどして子どもが好む状態をつくりだす,先行する事象としての場所が,何よりもその子にとって,安心・安全の場所として保障されるフリー・オペラント技法を活用することが有効である。学級園児の不規則発言を減少させ,適切行動を増加させるには,クラスワイドな支援を活用する,意欲を向上させ行動を増加させるには,対象者へ関心を向けること,要求手段の表出,伝達意欲の向上を目的としたコミュニケーション指導プログラムを活用することが有効である。行動の増加を促すには,強化遅延手続きを活用する,コミュニケーションを拡大させるための環境設定は,具体性の高い設定場面を用意する,感情を表現する発話の増加を促すには,ことばのモデル導入だけでなく遊びのモデルを導入することが有効である。

母親支援の重要性

 特殊な道具(玩具)は使用しないで,できるだけ自然な文脈の中で,単一の行動ではなくClの働きかけ行動のすべてを強化するという方法を用いた。その結果,Thのかかわり方が,母親にとって普通の生活場面におけるかかわり方のモデリングとして有効に機能したのではないかと考えた。これは,ペアレントトレーニングの重要性を示している(高橋・大野,2005)。また,保護者へのホームワークを通して,保護者が,日常生活でのA児のソーシャルスキル遂行に対して社会的強化子やプロンプトを与える手続きを実施した。この保護者へのホームワークによって,日常生活でのA児のソーシャルスキルの遂行に対し,保護者による強化随伴性を整備できたと考えられる。また,保護者へのホームワークを実施していないFollow up期間においても,保護者は,自発的に日常生活でのA児のソーシャルスキル遂行に対して社会的強化子やプロンプトを与え続けていた。以上のことから,本研究では,日常生活でのA児のソーシャルスキル遂行への保護者による強化随伴性が,A児のソーシャルスキルの獲得と維持に寄与したと述べ,母親を支援することで子どもが成長する可能性を示した(半田他,2014)。保護者は子どもの最大の援助者であり,代弁者である(武蔵,2004)。したがって,保護者が子どもの障がい及びその特性について理解を求め,日常の家庭生活を充実させていく意欲や技能をもつことが重要である(石塚他,2018)。一方,母親から「上手くいったときはA児を可愛いと思えたが,上手くいかないときは苦痛でした」とのコメントがあり,支援の効果がでない,あるいは母親が支援の効果を実感できないことで負担感が高まることが考えられるため注意が必要である(竹井他,2009)。

  このようなことから,母親に対し,障がい及び特性についての知識や理解を促進する支援の重要性が明らかになった。また,負担感や不安感を軽減する精神的なサポートにおいては,知識を伝えるだけではなく,親子交流会でのペアレントトレーニング等,実践に即した支援が必要である。

早期発達支援の展望

 本論考では,日本における自閉スペクトラム症児への早期発達支援の指導内容や指導頻度,その効果の検討という観点から応用行動分析における研究知見について整理を行った。

 冒頭でも述べたが,応用行動分析学による介入は,米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)の下部組織である米国連邦公衆保健局の局長による1999年の精神保健レポートで,唯一エビデンスを基にした研究成果であり,有効であるとされている(U.S. Department of Health and Human Services,1999)。

 一方,我が国の障がい児支援の背景については,平成24年度に,障がい種別に関わらず,身近な地域で支援を受けられることを目指し,従来の障がい種別ごとの体系が再編・一元化され,児童発達支援や放課後等デイサービスを中心とする制度体系の骨格が形づくられた。その後,約10年が経過し,児童発達支援は,令和3年5月時点で,平成24年比 4.5倍の8,298箇所へ,放課後等デイサービスは,令和3年5月時点で,平成24年比6.5倍の16,718箇所へと,飛躍的に事業所数が増加した。この約10年の間に,身近な地域で障がい児支援を受けることができる環境は大きく改善したと考えられる(厚生労働省,2021)。

 しかし,障がい児が身近な地域で支援を受けられるようになったにも関わらず,障がい児への支援として唯一エビデンスを基にした研究成果をもっている応用行動分析が療育現場で活用されているとは言い難い現状がある。したがって,早期発達支援の展望は,本論考で示された早期発達支援に対する応用行動分析の有効な手続きを,身近な地域で障がい児支援を受けることができる児童発達支援や放課後等デイサービスを運営する事業所(以下、事業所とする)にどのように導入していくかを検討することである。

 現時点,我が国では,事業所に応用行動分析を導入する方針は示されていない。そのため,療育に応用行動分析を導入したい場合は,事業所の従業者が独自に応用行動分析を学び実践に移していく必要がある。しかし,そのような動きが何の働きかけもなく広く起こるとは考えにくい。自身の事業所に応用行動分析を導入しようという考えを芽生えさせるには,応用行動分析を事業所に導入した場合の成果を示すことが有効な手段となる。そこで,地域で障がい児支援をしながらその実現を目指す一事業所は,家庭,相談支援事業所,保育所,その他関係機関と連携し,行動療法の効果を高めようと努力する早期発達支援プロジェクトを立ち上げ,以下の5点を実行し,応用行動分析の成果を示すべきである。第1に,当事業所は,保護者が行動分析学の知識を用いて,子どもの問題行動に対応したり,子どもとよい関係をつくったりするための研修を実施する。第2に,当事業所は,親子通所ができる体制を整える。また,親子交流会を定期的に開催し,ペアレントトレーニングを実施する。第3に,当事業所は,相談支援事業所が実施する担当者会議に積極的に参加し,保育所や他の児童発達支援事業所等との連携を図る。第4に,当事業所は,定期的にシステマティックレビューを実施する。その時点における早期発達支援の有効な手続きを収集し,支援に反映する。第5に,当事業所は,研究で得られた知見を実践で応用し,その成果を公表する。また,障がい児支援の実践で有効な手続きが広く導入されるよう支援方法を体系化し,障がいのある子どもたちの未来をより明るくしていく。

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