活動への参加に向けて、スモールステップで課題を設定し、できることを増やす

 穏やかで人懐っこい性格で、友達から可愛がられ、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、おままごとをしたり、ミニカーや電話で遊んだりすることが好きです。おままごとでは、鍋にピザを入れてフライ返しでパンパンと叩いて焼いている振りをしたり、鍋からお皿に移したりしています。お気に入りの遊びのようで、毎回楽しんでいます。他には、踊ったり歌ったりすることが出てきて、楽しそうに過ごしています。戸外活動では、石を集めたり、木の根の上を歩いたり、指導員と追いかけっこをしたりして遊んでいます。友達がケーキのような三角形の石を手渡したところ気に入ったようで、その後の戸外活動時でも毎回その石を持ち歩いています。その石の上に小さな石をのせて「イチゴのケーキ」「おいしい」と話していました。また、最近は、友達に興味を示すことが増えています。木の枝を削ったり、地面に埋まっている石を掘ったりしている友達を近くで見ていたり、真似したりすることが多くなりました。コミュニケーションの面では、以前に比べ、聞き取ることができる言葉が増えてきています。また、「いやよ」等のマイナスの意思表示だけでなく、「おもちゃ遊びたい」等のプラスの意思表示をしてくれるようになってきました。また、昼食の準備時にお盆を出してもらう際、自分から指差しして要求を伝えてくれます。まだ「ください」と自分から言うことは難しいですが、最近は聞き取ることができるように真似することができています。また、以前は自分の好きなように振る舞うことがほとんどでしたが、最近は「こっちに来て」「トイレに行くよ」「ここに座って」等の指示に素直に応じてくれることが増え、適応的な行動が増えています。

 気になる点は、工作や運動エフェクトへの参加が難しい点です。これらの活動の時間は、おもちゃの置いてある部屋で過ごしていることが多く、活動への興味はありません。活動への参加を促すため、3ステップで支援を実施します。第1ステップは、活動中は友達と同じ空間で過ごすこととします。最近は、朝礼の途中で、おもちゃの置いてある部屋に行きたいという意思を示した際、座る場所を指し示すと渋々そこに戻ってくることができるようになりました。このように、素直に指示に応じ、友達と同じようにすることが少しずつできるようになっており、友達と一緒に活動することに一歩近づきました。運動エフェクトでも朝礼時のように、友達と同じ空間で過ごすことができるようにします。その際、本児が何をしているかは問わず、同じ空間にいることを重視します。第2ステップは、活動中はおもちゃで遊ぶことを徐々に減らしていき、活動に興味を移すことができるようにします。実際に行わなくても見ているだけで学習が成立するモデリングという学習方法があります。おもちゃがない状態にすることで友達がしている活動を見ることを促し、モデリング学習をしてもらいます。第3ステップは、本児の好きな遊びを活動に取り入れて誘い、参加を促します。動因操作を用いることで本児が自分からやってみたいと思えるようにすることに配慮します。現時点では、鬼ごっこが好きですが、今後好きなことのレパートリーを増やしていくことができるよう、本児の好きな遊びをアセスメントしていきます。

 この半年間で本児との関係が深まり、本児から関わりを求めてくれることが増えています。また、こちらからの指示に応じてくれる等、少しずつ適応的な行動が増えています。今後も楽しい環境を提供し、本児のもっている力をさらに引き出すことができるよう支援していきます。

Juri F.

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