話を聞く態度をルール化して具体的に伝え、印象の良い聞き方を身に付ける
明るく活発な性格で、様々な活動に積極的に参加し、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、ボール遊びをしたり、カプラでタワーを作ったりして遊んでいます。本児が何かを作っていると、すごいものができるというイメージがあるようで、友達が周りに集まってきて興味をもって見ています。友達が「一緒に作りたい」と言うと、いつも「いいよ」と即答し、仲良く組み立てています。「倒れやすいから気を付けて」とアドバイスしたり、倒れてしまってもその子を責めることなく、「もう一回作ろう」と言ってあげたりするところに本児の優しさを感じます。本児はリーダーとなることが多く、友達から慕われています。今後も現在の良好な友達関係が維持できるよう見守りを続けていきます。
戸外活動では、生き物探しをして遊んでいます。生き物を捕まえることが得意で、カエルやバッタ、チョウ、トンボ等を捕まえています。生き物に詳しく、オス・メスの区別の仕方や、捕まえた時の持ち方などを説明してくれます。友達も本児のことを生き物博士だと思っていて、生き物を捕まえると「これ何?」と聞きに行く子が多くいます。聞かれた時には、いつも優しく教えてあげています。また、動きがすばやく捕まえるのが難しいトンボを何匹も捕まえ、コレクションのように服にとまらせていた時には、トンボが全然逃げなかったため「僕になついてる」と、とても嬉しそうでした。今後も自然体験等を通し、自己肯定感を高めていきます。
工作では、いつも根気よく取り組み、がんばっています。手先が器用で、説明の理解力もあり、ほとんど一人で完成させることができます。折り紙では、折り方の難しい部分は諦めてしまう子が多い中、本児はお手本をしっかりと見たり、分からない部分を自分から質問したりし、自分で折ることができました。また、同じ種類の部品を多く作る作品では、「〇個までできた」「あとちょっとだ」と時々言いながら、黙々と集中して取り組むことができました。工作は本児の好きな活動であり、いつも楽しそうに取り組んでくれています。よく友達に「すごく絵が上手だね」「(折り紙を)どうしてそんなにきれいに折れるの?」と褒められることが多く、嬉しそうにしています。今後も得意な部分をさらに伸ばし、自己肯定感を高められるようにしていきます。
運動エフェクトでは、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。跳び箱やマットが得意で、実技終了時のポーズまで意識して取り組むことができています。また、ラダートレーニングや動物の真似っこ歩きのような基礎運動も一つ一つ丁寧に行うことができています。集団遊びでは、しっかりとルールを守って行うことができています。ドッジボールでは、ボールを投げたりキャッチしたりすることが得意で、大活躍しています。また、同じチームの子に「皆、下がって」等と元気よく声を掛けてくれたり、「○○君、ナイス」と友達を褒めてくれたり、ルールの分からない子を優しくサポートしてくれたりします。運動は本児の得意な活動で自信をもっており、生き生きと活動しています。今後も楽しく活動してもらう中で、さらに運動技能を向上させていきます。
学習の面では、集中して取り組めるようになってきて、時間内に課題を終えられるようになっています。公文では、分からない所があると自分から聞くことができ、効率よく進められるようになりました。正負の加減乗除の計算の仕方を覚え、少し難しい問題も自分で答えを出せるようになりました。英語では、英文を読むことが得意で、スラスラと元気よく読むことができています。また、テストでは、単語の綴りを覚えられるようになり、前向きに取り組めるようになっています。本児は、公文で繰り返し丁寧に取り組むことで理解が進み、少しずつできるようになります。公文で学校より先に進んでいる計算問題は、学校の宿題で苦労していませんが、文章題や図形等、その他の分野では「分からない」と言うことが多くあります。今後は、学校の授業の予習を中心に学習を進め、学校の授業についていくことができるようサポートしていきます。
気になる点は、話を聞く態度です。朝の会や帰りの会で話を聞く際、いつも下を向いています。話を聞いているようには見えず、印象が良くありません。一方、運動エフェクトのルール説明は、聞いていないと実際に取り組む時に困るため、しっかりと聞くことができています。話の内容が、運動のルール説明のように本児が自分にとって必要な話だと思っている内容だった場合や、興味のある内容だった場合は、しっかりと聞くことができていますが、そうでない場合は、初めから聞く気がなく、態度に表れてしまっています。このような状態では、話し手からの印象が良くないため、改善する必要があります。そこで、話を聞く態度をルール化して具体的に伝え、印象の良い聞き方を身に付けられるようにしていきます。話を聞く態度で重要なことは、話し手の方を見ること、適切にうなずくなどして関心を示すこと、話したいことが出てきた場合は勝手に話し始めるのではなく静かに手を挙げることの3点です。1つ目の、話し手の方を見ることは、「私はあなたの話を聞いています」と示す上で重要です。相手の目を凝視するのではなく、口元など目から少し外れた部分を見ることを意識してもらいます。2つ目の、適切にうなずくなどして関心を示すことは、話し手、聞き手の双方にとって重要です。うなずいてもらうことでの話し手のメリットは、安心して話せること、聞いてもらえていると感じられることです。相手がしっかりと聞いてくれていると感じ、調子よく話すことができます。うなずくことでの聞き手のメリットは、聞こうとする態度を相手に示せること、うなずく動作が心に作用し自然と相手の話の内容に意識が向くようになることです。3つ目の、話したいことが出てきた場合は勝手に話し始めるのではなく静かに手を挙げることは、相手の話の腰を折らないために重要です。話している途中で口を挟んでしまうと、話を中断させてしまったり、相手が気を悪くしてしまったりするので、印象が良くありません。話したいことがある場合は、緊急性がない限り、相手の話の途中で口を挟まず、静かに手を挙げることが重要です。また、ずっと手を挙げ続けるのではなく、話の区切りまで待ち、タイミングよく手を挙げる必要があります。本児は、途中で口を挟んで注意を受けたことはないため、このルールは現時点でも守ることができています。以上の重要な点をルールとして具体的に伝え、意識的に取り組んでもらいます。その際、予め声を掛けて意識できるようにし成功体験を増やすこと、できた時には褒めて次の意欲へとつなげることに配慮します。
本児は、様々な活動に積極的に取り組み、ぐんぐん成長しています。今後も良い点をさらに伸ばすとともに、話を聞く態度の改善を図り、相手から良い印象をもってもらえる傾聴姿勢を身に付けられるよう支援していきます。
Juri F.