Q&A 言語・コミュニケーション
Q. 応用行動分析による言葉を引き出す支援とは?
A. 一つ目は、般性好子を確立と要求行動を形成します。抱っこやくすぐり等の身体接触を伴う遊びを通して関係をつくり、人の刺激が好子として機能するようにします。また、遊びの中で「もっと抱っこしてほしい」等の要求行動を形成します。二つ目は、動作模倣学習に取り組みます。人の動作を真似した時に、周囲の人がほめる、笑う等の般性好子を提示し、真似することは良いことなのだと感じてもらいます。三つ目は、聞き手行動学習に取り組みます。音声刺激を弁別刺激として提示し、対応する行動が生起したら般性好子を随伴させることで、聞き手行動を形成していきます。四つ目は、音声模倣学習に取り組みます。子どもの発声に対して大人が同じように発声し、その時に笑顔やくすぐりなどを随伴させていくと、次第に大人の発声を子どもが真似するようになります。そして、要求言語行動(マンド)や報告言語行動(タクト)を引き出していきます。
Q. 会話が早口で聞き取りづらい子への支援方法は?
A. 体操係や発表活動等、ゆっくりと話すことを意識しやすい機会を増やし、練習を重ねてもらいます。また、日常会話において聞き取ることができなかった場合、単に「もう一回言ってくれる?」と聞き返すのではなく、聞き取ることができた言葉を入れて「ここまでは分かっているよ」というメッセージを伝えながら聞き返すようにし、聞き取ることができた部分とできなかった部分を明確に伝えていきます。その際、コミュニケーションを楽しむことを第一とし、聞き取ることができた部分から会話を続けるよう配慮します。
Q. 必要なことを自分から言うことが難しい子への支援方法は?
A. 決まった場面において、必要なことを自分から言うことができるよう、遅延プロンプト(時間遅延法)を用いて支援していきます。遅延プロンプトとは、指示なしに標的行動を自発できるように指導する方法です(島宗,2019)。具体的には、子どもが遊びに仲間入りする場面や必要なものを頼む場面で、動作により何らかの意図を示した場合、指導員がすぐに言葉を要求するのではなく、子どもから言葉を発してもらえるよう言葉掛けを遅延させます。自分から言うことができた場合は、ほめてその行動を強化します。できなかった場合は「何と言うんだった?」等、プロンプト(行動を促すきっかけとなる刺激)を提示します。毎回同じ場面で練習することにより、成功体験を増やして習慣化し、徐々に自分から言うことができるようにしていきます。
Q. 発表活動時、求められている内容と発表内容にずれが生じる子への支援方法は?
A. 一点目は、指導員や友達との関わりをさらに深め、双方的なやり取りを増やします。遊びを楽しむ中で、本児の内の世界から外の世界へ意識が向くようにし、友達との関わりをさらに深め、双方的なやり取りを増やしていきます。二点目は、発表活動に向けて事前準備を行い、発表で求められている内容を感覚的につかんでもらいます。事実だけでなく、そうなった理由や背景等も入れながら、発表に向けて準備を行います。その際、生き物の図鑑等、その子の興味のある分野から題材を選び、楽しく準備することができるよう配慮します。また、初めは指導員が考えた発表内容を伝え、次の段階では発表内容を一緒に考えるようにします。段階を踏んでその子の負担を軽減しながら、最終的には一人で考えられるようにします。発表準備を積み重ねて様々な例を知ることで、どのようなことを発表するとよいか、発表に適した内容をつかむことができます。