友達に対する悪口や嫌がらせを減らすー構成的グループエンカウンターを用いた自己理解や他者理解を促す支援ー

 素直な性格で、様々な活動に真面目に取り組んでいます。自由遊びの時間は友達と一緒におしゃべりすることが好きです。本を見ている子に「○○君、何見てるの?」と自分から話しかけ、仲間入りすることが上手です。ゲームや動画の話をして仲良く過ごすことができています。また、話しかける相手は特に決まっておらず、誰とでも仲良く話を続けることができる良さをもっています。今後も、友達との良い関係が維持されるよう、見守り及びアドバイスをしていきます。

 運動エフェクトでは、どの種目も真面目に取り組み、がんばっています。情緒面のコントロールができるようになり、運動中にイライラすることはほとんどなくなっています。幅跳びの記録会では、跳び方が上手になり155cm跳べるようになりました。ラダートレーニングでは、すべての動きを正確に行うことができるようになり、得意種目になっています。長縄の8の字跳びでは、前の子に続いて間を空けずに入ることが上手で、タイミングよく縄に入ることができています。集団遊びでは、ルール説明に耳を傾けるようになり、「そんなこと聞いてない」と言うことがなくなりました。また、チームに協力的で楽しく取り組むことができています。ドッジボールでは、速い球を上手くかわすこともでき、がんばっています。今後も運動を楽しんでもらい、気分をリフレッシュしてもらいます。

 学習の面では、切り替えが早く、すぐに準備して取りかかることができています。現時点、漢字や算数の復習プリントに取り組んでいますが、毎回その日の課題を終えることができており、がんばっています。今後も丁寧に学習支援を行い、できることを増やしていきます。

 気になる点は、特定の子に対し嫌がらせをする点です。特定の子に対し、その子が何もしていないにも関わらず、「キモイ」等の悪口を多く言っています。また、学習中にイライラすることがあると、その腹いせにその子のランドセルを何度も踏みつけることもあります。その子の見ていない所で行い、学習中の嫌な気持ちを発散しています。本児は素直な性格なので、注意をすればその場では止めますが、自分でこれらの発言や行動を抑えることは難しいようです。これらの点を改善するため、以下の支援を行っていきます。まず、善悪の判断を適切に行い、行動を抑制することができるようにします。何を言ってもよいわけではないこと、見ていないから何をしてもよいことにはならないことを繰り返し伝えます。本児自身、ここまで「事実だから」「何で言ったらいけないのか分からない」と言っていた時期もありましたが、最近は「ダメなことは分かっているけど、止められない」と言うようになり、自分のしていることの良くない点に気付き始め、少しずつ変化が見られています。今後もその都度声を掛けていき、良くないと分かっていながらも止められない行動を減らせるよう支援していきます。また、構成的グループエンカウンター(Structured Groupe Encounter 以下SGE)の手法を用いて、自己理解や他者理解を深めていきます。具体的にはSGEのエクササイズの一つである「いいところ見つけ」を行い、認められる喜びを感じたり、友達の良い所に目を向けたりする機会を提供します。「いいところ見つけ」のやり方は以下の通りです。円形になって座り、一人だけ真ん中に座ります。一人ずつ真ん中の子の肩に手を置いて「運動会で一生懸命走ってたのが格好よかったよ」「泣いていた時に慰めてくれてありがとう」などと、その子のよかったところを言います。一つ言ったら一つずつずれて、次の子が真ん中の子のよかったところを言います。グルグルと回っていって、全員が言い終わるまで続けます。この活動を通して、自分の良さや友達の良さに気付き、自己理解や他者理解を深めることができます(のりそら,2021)。本児は現在、友達の良くない面に目を向けていることが多いですが、このエクササイズを通して友達の良い面を言葉にすることにより、友達の良い所を見る目を育てていきます。また、本児に真ん中の子の役をしてもらい、他者から認められる喜びを感じてもらったり、自分の良さに気付いてもらったりします。さらに、日頃から得意な部分や適応的な行動に注目し、ほめることによって自己肯定感を高めていきます。

 本児は、様々な活動に真面目に取り組み、楽しそうに過ごしています。今後も良い面をさらに伸ばすとともに、SGEを通して他者理解や自己理解を深め、特定の友達に対する嫌がらせを減らすことができるよう支援していきます。

引用文献

のりそら(2021)5分でわかる最高の学級をつくる魔法のテクニック10選:構成的グループエンカウンターの活用 NEXTAGE SCHOOL文庫

Juri F.