その場に合った振る舞い方を知り、実行することができる

 明るく活発な性格で、ドッジボールやサッカー、鬼ごっこをしたり、坊主めくりをしたりして遊んでいることが多く、友達とたくさん関わりながら楽しそうに過ごしています。また、人懐っこく、指導員にたくさん話しかけてきてくれたり、遊びに誘ってくれたりします。運動エフェクトでは、どの種目も積極的に取り組み、がんばっています。幅跳びでは、123cmから165cmへ記録を大きく伸ばし、皆に驚かれて誇らしげな顔をしていました。集団遊びのルール理解力もあり、初めてのことでもすぐに動き方を理解し、楽しむことができています。学習の面では、公文を順調に進め、がんばっています。切り替えが早く、集中して取り組むこともでき、1日分の枚数をさっと終えることができています。

 気になる点は、①嫌なことをされると手が出てしまうこと、②「本当かな?」と思われるような発言がよくあること、③話を聞いていないこと、④興奮するとルールを逸脱してしまうこと、⑤譲ることが難しいことの5点です。

 嫌なことをされると手が出てしまう点に関しては、ブロックで作った物を壊されそうになった時、使いたかった部品を取られた時によく見られます。手が出てしまう点を改善するため、以下の3点に取り組んでいきます。1つ目は、認知的不協和理論に基づき、「ぼくは友達に手を出さない」という意識を本児の心の中で高めるため、行動を変えるには不十分な理由の問いかけを意図的にします。手を出してしまう自分の行動と、自ら言葉にした内容との矛盾を大きくすると、その矛盾を解消しようとして、自ら言葉にした内容に行動を一致させるよう考え方を変えます。2つ目は、友達とトラブルになってしまった場合に、どのように対処したらよいかその都度伝え、上手く解決できるようにしていきます。まず、嫌なことがあっても絶対に手を出してはいけないことを約束し、力ではなく言葉で解決しようとする心を育んでいきます。また、言っても相手が応じてくれない場合等、困った時にはすべて自分で対処しようとせず、指導員に相談するよう予め伝えておき、思うようにならなかった時の対処法も覚えてもらいます。3つ目は、運動エフェクトを通して抑制力を育んでいきます。身体の抑制ができるようになると心の抑制もできるようになると言われていることから、「ビーチフラッグス」や「だるまさんが転んだ」等、身体の抑制力を刺激する遊びを通して、心の抑制力を伸ばしていきます。

 「本当かな?」と思われるような発言がよくある点に関しては、日常生活の中での関わりを通じて改善を図っていきます。道徳性は、言葉での説明や叱責による大人からの道徳教育を単に吸収するのではなく、社会・文化環境と交わることで発達すると言われています。周囲の大人が、知らないことは知らないと言ったり、間違えたことに気付いたら素直に訂正し謝ったりする姿を見せることで、知らないことは知らないと言っても大丈夫なのだ、素直に振る舞えば良いのだということを感じてもらいます。また、知らないと言っても馬鹿にされない環境を維持し、安心感をもってもらえるよう配慮します。

 話を聞いていない点に関しては、刺激を用いて改善を図っていきます。話を聞く場面でもなかなか切り替えができず、いつまでも友達に話しかけていたり、ちょっかいをかけていたりすることがよくあります。これまで声掛けを継続してきましたが、なかなか改善しなかったため、ここ最近は、話をしっかりと聞くことができるよう環境を整えています。友達に話しかけたりちょっかいをかけたりしやすい場所ではなく、指導員の目の前に座ってもらい、緊張感が維持しやすいようにしています。また、話が終わった時には、「しっかり聞けていたよ」「よかったよ」と本児の行動の良かった点をフィードバックし、次もそうしようと思ってもらえるようにしています。今後も、問題なくできたというエラーレスの経験を積み重ねてもらえるよう未然に対応し、話を聞くことを習慣化していきます。

 興奮するとルールを逸脱してしまう点に関しては、運動エフェクトにおける集団遊びを通して、ルールに則って競うことを学んでもらいます。ドッジボール等、本児の好きな遊びを行うと、自分がたくさん投げたいという気持ちから、線をはみ出してボールを取りに行ってしまうことがよくあります。その都度声を掛けるだけでは、後手に回ることとなり、あまり改善しませんでした。そこで、注意を繰り返し受けてもルールの逸脱が続く場合には、タイムアウトを実施することにしました。タイムアウトとは、なくしたい又は減らしたい行動が起きた時に、好ましいものやことを獲得するための機会を消失させることで、その行動の生起頻度を減らす手続きです。この手続きの目的は、参加させないことではなく、興奮を抑えたり、ルールを守ることの大切さを伝えたりすることです。タイムアウトを実施する前にルール違反の内容を明確に伝えておき、タイムアウトの理由を本児も理解できるよう配慮します。タイムアウトを実施して一定時間見学してもらった後は、きちんとルールを守れるかどうか確認し、活動に戻ってもらいます。

 譲ることが難しい点に関しては、「思いやりをもちましょう」といった大きなルールを定め、そのルールに沿った振る舞い方を覚えてもらいます。細かなことまでルールにするのではなく、大きなルールに照らし合わせ、どのように振る舞えばよいかをその都度考えてもらい、より良い振る舞い方を身に付けてもらいます。その際、「おもちゃを交代で使うこと」や「ドッジボールで自分ばかり投げるのではなく、友達にも代わってあげること」、「自分の主張を通すだけでなく、友達の意見も受け入れてあげること」等の例を挙げ、思いやりのある行動の具体的なイメージをもてるようにしていきます。また、フェアプレイ精神という言葉がありますが、フェアプレイ精神とは、ルールを守ることだけでなく、ルールに書かれていない心の在り方を指す言葉です。具体的には、「皆が楽しく参加できるようにすること」、「自分も他の人もケガをしないようにすること」、「勝っても思い上がらず、負けてもふてくされないこと」等があります。すべてをルールにすることは難しいので、ルールにはできない面をフェアプレイ精神で補うことを経験の中で教え、人間的成長を促進させていきます。

 以上、5点の気になる点に関して改善できるよう支援していきます。戸外活動や運動エフェクト、学習等色々な活動を通して様々な経験を積み重ねてもらう中で、その場に合った振る舞い方を知ってもらい、実行することができるようにしていきます。

Juri,F.