その時の気分に左右されず、活動に参加することができるようになる

 明るく、人懐っこい性格で、自分から積極的に友達と関わり、仲良く過ごすことができています。自由遊びの時間は、焼き肉屋さんごっこをして遊ぶことが好きです。「とってもおいしい○○ですよ。仲良く食べてね」と言いながら、他の所で遊んでいる友達に、ごっこ遊びで作った料理を持っていき、一緒に遊び始めることが多くあります。通所し始めた頃から友達との遊びを始めることは上手でしたが、遊びを続けることが難しく、わずか2、3分で「もう飽きたから止める」と言って、別の所へ行ってしまうことが多くありました。しかし、最近は、次々に遊びを変えてしまうことがなくなり、友達と一緒に遊びを続けられるようになりました。今後も適宜アドバイスし、友達との関係を良好に保つことができるようにしていきます。

 戸外活動では、だるまさんが転んだをしたり、探検ごっこをしたり、昆虫を探したりして遊んでいます。「大きなバッタを見つけたよ」と指導員に見せてくれたり、友達から誘われた遊びに付き合ってくれたり、相互作用のある行動が多く見られます。また、活動前の安全面のルール確認の際、通所し始めた頃は、思ったことを勝手に話し始めてしまうことが多くありましたが、最近は口を挟んでしまうことが減り、落ち着いて聞くことができるようになりました。

 運動エフェクトでは、ルール理解力があり、初めて行う種目でもすぐにルールに沿って行うことができています。ドッジボールでは、時々キャッチすることができ、同じチームの子にほめられて嬉しそうにしていました。また、繰り返し取り組んでいるドリブルでは、初めは数回しかできませんでしたが、31回まで記録を伸ばすことができ、喜んでいました。跳び箱では、「苦手だけどやってみる」と言って、チャレンジすることができました。縦1段から順に段数を上げ、3段まで跳ぶことができました。また、通所し始めた頃は、思うようにならないと泣いていましたが、最近は情緒コントロールができるようになり、適応的に行動できることが増えています。今後も楽しく参加してもらい、情緒をコントロールする力をさらに伸ばすとともに、運動能力を向上させていきます。

 気になる点は、一旦気持ちが崩れてしまうと、切り替えることが難しい点です。具体的には、「○○は苦手だからやりたくない」と言ったり、多数決で決まったことに対し「○○ばっかり嫌だ」と言ったり、一度上手くいかなかった時に「どうせできないからやらない」と言ったりし、運動エフェクトやレクリエーションに参加しなかったり、途中で止めてしまったりすることがあります。小学校2年生までに身に付けたいことに、何事も一生懸命がんばること、思うようにならないことを受け入れること、があります。したがって、得意かどうか、やりたいことかどうかに関わらず、最後まできちんと参加することができるようにしていきます。その際、以下の3点に配慮します。1つ目は、予めルールを確認します。運動エフェクトのルールとして「泣かない・怒らない・途中で止めない」があります。気持ちが崩れてしまった後に対処しようとしても難しいので、始まりのあいさつの時など、落ち着いている時に、事前にルールを確認し、守る意識を高めていきます。また、気持ちが崩れそうになった時に再度ルールを提示するなど、情緒のコントロールを促していきます。こうすることでエラーを減らし、成功体験を増やすことができます。2つ目は、チャレンジしたことをほめます。上手くできたか、成功したかという結果の観点ではなく、チャレンジしたこと自体をほめます。本児は結果に目を向けがちですが、チャレンジすることが大切だということを伝えていきます。また、必要に応じて難度を下げる等、取り組みやすくし、「これならできそうだ」と思ってもらえるよう、チャレンジのハードルを下げることにも配慮します。3つ目は、細かな変化にも気付いて声を掛けます。上手くできなかった時にも「○○がよかったよ」「前の時より○○がよくなったね」等、向上点を具体的に伝えることで、1つのことができるようになる過程にも目を向けられるようにしていきます。そうすることで、これまで「できなかった」と一括りにしてしまっていたことの中に、「半分くらいはできた」「もう少しでできそうだ」「おしかった」等、徐々に成功に近づいていく段階があることに気付き、前向きに練習に取り組むことができるようになります。これらの3点に配慮しながら、本児の運動に対する苦手意識や嫌な気持ちを少しずつ減らし、最後まできちんと取り組むことができるようにしていきます。

 本児は、この半年間で落ち着きが増し、様々な面で大きく成長しています。今後も本児の良い面をさらに伸ばすとともに、その時の気分に左右されることなく活動に参加することができるよう支援していきます。また、様々な経験を通して、情緒をコントロールする力を伸ばし、本児の元々もっている力をさらに引き出すことができるよう支援していきます。

Juri F.

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