適応的な行動を引き出す手続きを実施し、すべきことに取り組むことができるようになる
優しく穏やかな性格で、様々な活動に参加し、楽しそうに過ごしています。対人関係面では、一人で遊んでいることが多くありましたが、最近は友達との関わりが少しずつ増えています。気の合う友達もできたようで、毎週その友達と一緒に遊んでいます。他の友達には、まだ自分から声を掛けて仲間入りすることはしませんが、「挟みドッジやろう」「8の字鬼やろう」と声を掛けられたり、ブロック遊びや手押し相撲等に誘われたりすると、一緒に遊び始めることが多くあります。友達とトラブルになることはなく、友達との関係のとり方が上手です。また、友達との関わりが多くなってから、笑顔が多く見られるようになりました。今後も、遊びを通して友達との関わりをさらに深め、楽しく過ごせるようにしていきます。また、さらに友達の輪を広げていくためにも、仲間入りスキルを身に付けられるよう、支援していきます。
運動エフェクトでは、以前は床を這って移動し整列に時間がかかることがありましたが、最近は自分の場所にサッと並べるようになり改善しました。運動技能面では、繰り返し取り組むことにより少しずつ向上しています。特にドッジボールでは、以前に比べボールを遠くまで投げられるようになりました。最近は挟みドッジボールで、対戦相手を当てることも出てきて、より楽しめるようになりました。また、鬼ごっこ系の遊びが好きで、積極的な動きが多く見られます。例えば、氷鬼で捕まってしまった子を何度も助けに行ったり、8の字鬼や高鬼で鬼の隙を見てサッと移動したりし、楽しんでいます。他には、長縄の8の字跳びで前の子と間を空けずに縄に入ることができたり、ドッジビーを相手が取りやすい位置に飛ばすことができたり、鉄棒の逆上がりが軽々とできたりする等、得意なことも多く自信をもっています。また、集団遊びでは、ルール理解力があり、ルールに沿って楽しむことができています。チーム対抗戦では、チームに協力的で、いつもがんばっています。勝敗にこだわることはなく、ゲームとして楽しむことができています。今後も様々な運動をする機会を提供し、運動技能の向上を図っていきます。また、運動を通して友達との交流を楽しんでもらい、友達と一緒に遊ぶ楽しさを感じてもらえるようにしていきます。
学習の面では、宿題の準備をサッと済ませ、自分から取り組み始めることができるようになりました。特に、漢字の宿題では、途中で休憩は挟んでいますが、「もう〇番になったね」「がんばっているね」等、プラスの声掛けを継続することにより、最後まで終えられるようになりました。また、分からない漢字がある時は自分から質問してくれるようになり、手が止まったままでいることがほぼなくなりました。今後も、できている部分やがんばっている部分に目を向けた声掛けを継続し、やる気を引き出していきます。
気になる点は、算数の宿題が終えられない点です。計算が苦手で時間がかかるため、やる気を失ってしまい、なかなか進みません。また、一旦やりたくないと思うと電池が切れたように全く動かなくなってしまいます。このやる気のなさは、学習性無力感が関係していると考えています。人は自分の力ではどうしようもない状況に置かれ続けると、無力感を学習するとされています。本児の計算スピードから考えると、計算ドリル1ページ分(計算20問)の負担感は、他の子と比べてとても大きいため、「このくらいならできそうだ」という自己効力感をもつことができない原因になっていると考えられます。したがって、過度な負担感を減らすため、学校の先生との話し合いにより、本児が「このくらいならできそうだ」と思える宿題量に調整する必要があると思われます。そうすることにより、成功体験を積み重ねることができ、自己効力感を育むことができます。加えて、苦手なことでも、すべきことにはしっかりと取り組むことができるようにすることも大切です。最近は「明日提出ではないから、やらなくても大丈夫」と思っているのか、あまり算数の宿題に取り組んでいないようで、提出日間際に到底終えられないような量がいつも残っています。計算は苦手だからやりたくないという気持ちも分かりますが、毎日コツコツと取り組むことが大切です。そこで、本児と話し合いをもち、宿題をどのように進めていくか、具体的に目標を設定し、実行することができるよう宿題の進め方をサポートしていきます。また、前回の支援計画でお伝えした適応行動を引き出す手続きを引き続き実施し、すべきことにきちんと取り組めるようにしていきます。
本児は、様々な活動に取り組む中で、周りに合わせて行動することができるようになったり、運動技能が向上したり、友達との関わりが増えたりし、成長が感じられます。今後も本児の良い面をさらに伸ばしつつ、気になる点の改善を図っていきます。
Juri F.