連続強化スケジュールによる支援を継続し、行動の切り替えができる場面を増やす
人懐っこい性格で、指導員との関わりを自分から求めることが多く、楽しそうに過ごしています。コミュニケーションの面では、自分のしてほしいことを言葉にすることができています。例えば、男性指導員に「高い高いしてください」「10回してください」と言い、スキンシップを楽しんでいます。また、お絵描きをすることが好きで「紙ください」「色鉛筆貸してください」と自分のしたいことに必要な物を自分から頼むことができています。お絵描き中は、双方向のやりとりも少しずつできるようになってきて、描いているものを指差して「これは何?」と尋ねると、一つずつ答えてくれたり、「ゲーム」「マイクラ」等の絵に関連する言葉を続けてくれたりします。しりとり絵本では、普通に読むだけでなく、「○○をとったら?」(「くじら」から「ら」をとったら「くじ」になる)、「点々をつけたら?」「反対から読んだら?」等のやりとりをしながらページをめくる等、指導員と一緒に言葉あそびのやりとりを楽しむこともありました。今後も、本児の気に入っている遊びから人とのコミュニケーションが広げるきっかけを見つけ、言葉のやりとり、人との関わりを楽しむ時間が増えていくよう支援していきます。
運動エフェクトでは、全種目に参加し、がんばっています。記録会で繰り返し取り組んでいる反復横跳びでは、しっかりと取り組むことができており、動きのすばやさも増してきました。バッティングでは、ボールをよく見てバットを振り、上手に打つことができます。打つことができると「やったぁ」と嬉しそうに言い、楽しんでいます。バッティングは気に入っており、自由遊びの時間にも指導員と一緒に楽しそうに遊んでいます。ラダートレーニングでは、指導員が隣で一緒に行うことにより、同じように真似することができるようになりました。長縄では、跳ぶことが好きなようで、よく「10回跳ぶ」と言っていますが、「今日は3回だよ」「1回跳んだら出るよ」等と回数を伝えるとルール通りに行動できるようになりました。他には、マットやケンケンパ、平均台等を組み合わせたサーキットトレーニングのような、道具を見て何をすればよいか分かりやすい種目が得意で、一つずつ丁寧に取り組みがんばっています。集団遊びでは、ルール理解が難しいものもありますが、指導員が一緒に動いたり、声掛けをしたりし、ルールに沿った動きができるようサポートしています。今後も、様々な運動を楽しんでもらい、できることを少しずつ増やしていきます。
学習の面では、自分でランドセルを持ってきて席に座ることができ、自ら始めていることも出てきました。分からない問題があると「教えてください」と自分から助けを求めることができています。その日によって変わりますが、集中力の持続時間も少しずつ伸びており、宿題をすべて終えられる日も増えています。今後も落ち着いて学習することができるよう、支援していきます。
気になる点は、少しずつ改善傾向は見られますが、行動の切り替えが難しい点です。学習終了時のあいさつは、宿題が残っているとそのまま続けようとし、指示に応じられないことがあります。できたりできなかったりを繰り返していますが、支援の継続により少しずつできる日が増えています。一方、運動エフェクト開始時は声掛けのみで参加できるようになり、改善しました。ここまでの連続強化スケジュールによる支援により「運動には参加するんだ」という認識がついたこと、「約束」という言葉が行動を切り替えるきっかけになっていることが行動の改善につながったと考えられます。したがって、学習終了時のあいさつも、運動に参加できるようになった手続きと同様に支援を実施することで本児の認識を変え、行動の切り替えができるようにしていきます。具体的には、宿題に取り組んでいる途中で「あと〇分で終わりだよ」「終わりと言われたらすぐに止めるよ」と予告する等、時間を意識したり、ルールを意識したりできるよう予め声掛けをしていきます。また、学習終了の声掛けがあった時には、宿題の途中でも手を止めて行動を切り替えることを予めルールとして伝えて「約束」の認識をもってもらい、ルール支配行動による適応的な行動を引き出していきます。その際、運動エフェクトの時と同様、初めは身体ガイダンス(身体誘導)を用いますが、できるようになってきたら徐々に言語教示にシフトしていきます(プロンプトフェイディング)。また、適応的な行動に対し「今日はすぐに止めることができたね」「よかったよ」とほめることで、適応的な行動を強化していきます。
本児は、様々な活動に取り組む中でできることが増え、大きく成長しています。今後も、本児の良い面をさらに伸ばすとともに、行動の切り替えがスムーズにできるよう支援を継続していきます。
Juri F.