話を聞く場面で、自分で切り替えができるようになる-応用行動分析の確立操作と正の強化を組み合わせた支援-
明るく穏やかな性格で、友達と積極的に関わり、仲良く過ごすことができています。コミュニケーションの面では、ゲームやユーチューブ等について友達と一緒に話すことが好きです。内容を詳しく覚えており、お互いに面白さや楽しさを共有しながら、仲良く話を続けることができます。また、様々な国に興味があり、その国の文化などについて詳しく教えてくれます。「この前、ぼくも初めて知ったんだけど…」「これはマニアックな話なんだけど…」等と前置きをして話し始めることも多く、相手にも配慮したコミュニケーションをとることができ、気持ちよく会話を続けることができます。今後も得意な面をさらに伸ばし、自己肯定感を高めていきます。
運動の面では、どの種目にも真面目に取り組み、がんばっています。長縄の8の字跳びが得意で、前の子と間を空けず、次々に縄に入ることができています。また、キャッチボールが少しずつ上手になっていて、ねらった所に投げたり、落とさずにキャッチしたりすることができるようになってきました。集団遊びでは、ルールをしっかりと守り、楽しんでいます。特に、鬼ごっこ系の遊びが好きで、盛り上がっています。今後も、運動技能の向上を図るとともに、身体を動かす楽しさを感じてもらえるようにしていきます。
学習の面では、以前は友達とおしゃべりしてしまい、なかなか宿題を進めることができませんでしたが、「〇分までに宿題を終える」という目標を立てて取り組むようになってから、算数のワークに取り組む時間もしっかりと確保できるようになりました。本児自身も算数が少しずつできるようになってきている自覚があるようで、「最近、算数が分かるようになってきた」と、前向きな発言が出るようになっています。年度末の復習時にも、自分で進めることができており、知識や計算技能も定着してきています。特に、以前に比べ暗算力が伸び、わり算の筆算がスムーズにできるようになりました。今後も本児に合わせて丁寧に学習支援を実施し、学力の向上を図っていきます。
気になる点は、話を聞く場面での切り替えが難しい点です。友達とのおしゃべりが止められずよく注意を受けています。以前は注意を受けても反抗的な態度をとる等、切り替えができませんでしたが、最近は、声を掛けられれば切り替えができるようになってきました。今後は、次の段階へステップアップし、その場の雰囲気を感じ取り、個別に声を掛けられなくても切り替えができるようになることを目標に、支援を実施していきます。具体的には、確立操作を実施し、話を聞こうという意識を高めておきます。確立操作とは、行動の獲得や維持に影響を及ぼす操作のことです。行動の重要性を言語化して伝えたり、ルールを設定したりし、適応的な行動が生じやすくなるよう働きかけます。良い行動が取れた場合は、ほめてその行動を強化していきます。そして、周りの状況を察して、適応的な行動をとる経験を積み重ねてもらい、習慣化していきます。
本児は、情緒面が安定し、落ち着いて過ごすことができています。今後も様々な活動を通して、良い点をさらに伸ばすとともに、行動の切り替えがスムーズにできるよう支援していきます。
Juri F.