言語刺激と動作を一致させるトレーニングにより、スプーンですくうことができるようになるー応用行動分析によるマストライアルを用いた支援ー
穏やかで人懐っこい性格で、人との関わりを積極的にもちながら、ニコニコと過ごしています。自由遊びの時間は、ボールやタッチペンで音が出る絵辞典、音楽の鳴る太鼓のおもちゃで遊ぶことが好きです。入室後トイレを済ませてからおもちゃの部屋に一緒に行くと、絵辞典と太鼓のおもちゃを自分で取り出し、自分が過ごす場所まで持って運んでいます。そして、電源を入れてほしいことを動作で伝えてくれます。最近は、曲のボタンを押してただ聞いているだけでなく、音楽を鳴らしながら太鼓部分を手で押して音を鳴らして遊んでみたり、動物や乗り物のボタンを押してみたりするようになり、遊びの幅が少し広がりました。今後も本児の好きな遊びを楽しんでもらいながら、人と関わる楽しさを感じてもらえるよう支援していきます。
気になる点は、スプーンで食べ物をすくうこと、トイレ・トレーニングが難しい点です。スプーンについては、ここまでの支援の結果、補助具を使用したスプーンの持ち方が安定し、一度正しい持ち方を補助すると、最後まで正しい持ち方を維持できるようになりました。スプーンで食べ物をすくう動作についてはまだ難しく、身体ガイダンスによる動作補助をしています。昼食時にご飯をすくうことは全介助で、落とさないように口に運ぶことを練習しています。おやつのヨーグルトでは、スプーンを口から出すところまで自分で行いますが、その後、お椀に入っているヨーグルトにスプーンを持っていくことが難しく、そのまま待っています。また、まだ言語刺激と動作の結びつきがないため、「食べて」「すくって」と声を掛けても行動に移すことが難しい状態です。その時に手を添えてスプーンの先をヨーグルトにつけると、その後口に運ぶことは自分で行うことができます。言語刺激と動作を結びつけるためには、マストライアルによる練習機会の確保が必要で、昼食時やおやつ時に毎回練習していきます。具体的には、「食べて」と声を掛けた後、すぐに身体ガイダンスで食べ物をすくう動作を補助し、音声刺激と動作を結び付けるトレーニングを実施していきます。
トイレ・トレーニングについては、一定時間毎にトイレに行くようにしていますが、まだトイレで用を足したことはありません。最近は、オムツが既に濡れている場合は声掛けによりトイレに行ってくれますが、まだ濡れていないまたは少ししか濡れていない場合は嫌がることが多い傾向にあります。一方、排便した後は気持ちが悪い感覚があるようで、オムツを交換するために別の部屋へ行くことを嫌がることはありません。濡れたオムツは気持ちが悪いなという感覚は教えることが難しいため、そのような感覚が出てくるまで待つしかありませんが、排便時の感覚が分かっているため、いずれは排尿時の感覚も分かるようになっていくと考えられます。今後も一定時間毎のトイレ・トレーニングを継続し、排泄の自立に向けて支援していきます。
本児は、いつもニコニコと機嫌よく過ごしており、楽しく過ごすことができています。今後も本児の良い面をさらに伸ばすとともに、日常生活面においてできることを増やせるよう、支援を継続していきます。
Juri F.