経験を通してコミュニケーションの幅を広げ、必要なことを自分から伝えることができるようになる

 穏やかな性格で、様々な活動に真面目に取り組み、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、キャッチボールをしたり、マグネットブロックやドミノ、絵辞典等で遊んだりしています。キャッチボールでは「届くように投げて」と声を掛けると、より遠くまで投げることができ上手です。また、緩やかな球であれば正面でなくてもキャッチできるようになってきています。また、「○○君も皆と一緒に挟みドッジボールやろう」と声を掛けるとすぐに仲間入りし、仲良く遊んでいます。絵辞典では、タッチペンで楽器の音を鳴らすことを気に入っています。トランペットやハープ、ピアノ等、気に入っている楽器の音を繰り返し聞いています。また、その絵辞典を友達の所に持っていき、その子の好きなハッピーバースデーの歌を鳴らしてあげる等、友達に優しく接してくれています。今後も指導員や友達と関わりながら、楽しく過ごせるよう支援していきます。

 運動エフェクトでは、どの種目も真面目に取り組み、がんばっています。反復横跳びでは、線を意識して正確にリズムよく動くことができ、安定した記録を出すことができています。サッカーのパスゲームでは、力強くまっすぐにボールを蹴ることができ、上手です。集団遊びでは、繰り返し取り組んでいる種目は大体のルールを理解することができており、ルールに沿った動きをすることができています。ドッジボールでは、相手に当てることができると、サッと内野に戻り、とても嬉しそうにしています。今後も様々な運動に楽しく取り組んでもらい、リフレッシュしてもらいます。

 学習の面では、学習の準備時に机を出す際、いつも机を運ぶのを手伝ってくれます。手伝った後は、「筆箱ください」と自ら言いに行き、すぐに切り替えて席に着くことができています。また、集中力の持続時間が長く、落ち着いて取り組むことができています。公文では、わり算の筆算の練習をしています。教えてもらった解き方に沿って練習し、一人で解けるようになっています。今後も少しずつ学習を進め、できることを増やしていきます。その際、本児の負担が大きくならないよう配慮していきます。

 気になる点は、ルール化されていないことは自分から伝えることが難しい点です。入室時や運動エフェクト終了時にお茶の有無の報告をすること等、毎回決まった場面で報告するようにルール化されていることは、自分から伝えることができていますが、自分からコミュニケーションを開始することはほとんどありません。また、相手によっても変わるようで、男性指導員には、「(学習終了時に)40分になりました」と報告したり、友達と遊んでいる所に来て、やってほしいことを言いに来たり、良くないことをした子がいると「○○君が…していました」と報告したりすることがありますが、他の指導員に対して言うことはなく、時計の方を指した状態で指導員が本児の言いたいことを察するまで待っていたり、キャッチボールをしたくても何も言わずボールを持って待っていたりすることがよくあります。また、おやつの片付けのタイミングは、食べ終わった子から自分であいさつをして片付けるという流れですが、本児は自分から動くことはなく、指導員からの声掛けをいつも待っています。次に何をするのかは分かってはいると思いますが、時間が経っても自分から行動に移すことはなく、声を掛けられるのを待っているようです。本児は特に困り感を感じていませんが、決まったことは自分から動き出すことができるようルールを定め、自ら行動に移すことができるようにしていきます。ルール化しておくことは自発的な行動を促すきっかけとして機能し、このような経験を積み重ねていくことで、他の場面においても自発的な行動を促すことにつながると考えています。他には、声の大きさの調整が難しかったり、友達に「○○しなさい」と何度も言って相手をイライラさせてしまったりする面があります。本児に悪気はありませんが、予め「中くらいの声で」と伝えることで声の大きさを調節することができたり、「何回も言わなくていいよ」と伝えることですぐに止められたりすることから、事前の声掛けが効果的だと考えています。事前の声掛けにより「今日もよかったよ」と、成功体験を積み重ねることができるよう支援していきます。

 本児は様々な活動を楽しみながら少しずつ力を伸ばしています。今後も、本児の良い面をさらに伸ばしつつ、気になる点の改善を図ることができるよう支援していきます。

Juri F.