相手からの見られ方を意識し、その場に相応しい態度をとることができるようになる

 明るく人懐っこい性格で、様々な活動に積極的に取り組み、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、「○○しよう」と自分のしたいことをはっきりと伝えることができます。オセロやジェンガ、双六、おままごと、玉入れ、あやとり等、様々な遊びを楽しんでいます。また、保育園の子と遊ぶことも好きで、その子のしたいことに合わせながら、優しく接してくれています。今後も、遊びを楽しんでもらいながら、友達との良好な関係を維持することができるよう、支援していきます。

 クッキングでは、何を作るか毎回楽しみにしてくれています。材料の買い出しでは、グループ毎に買い物メモに書かれているものを探しますが、本児はどこに何が売っているか分かっているようで、「○○は、こっちにあるよ」と同じグループの子を連れて行ってくれることが多くあります。調理では、様々な調理過程に興味を示し、「○○をやりたい」と積極的に参加してくれています。説明をしっかりと聞き、卵を割ったり、材料を量ったり、生地を混ぜたり、生地を焼いたり、トッピングを人数分に分けたりする作業に丁寧に取り組むことができました。盛り付けでは、見た目がきれいでおいしそうに仕上げることができています。試食では、時間をかけてがんばって作った分、おいしそうに食べていました。今後も、楽しみの一つとしてクッキングの機会を提供していきます。

 運動エフェクトでは、どの種目にも積極的に取り組み、がんばっています。整列・体操係をやりたいと自分から言いに来てくれることが多く、いつも元気よく行ってくれます。記録会では、記録更新した友達の名前と回数をしっかりと覚え、発表してくれることがよくあります。個人種目では、ラダートレーニングが得意で、リズムよく正確に取り組むことができています。長縄では、8の字跳びが得意で、友達と協力して何人も続けて縄に入ることができると、嬉しそうにしています。集団遊びでは、ルールをしっかりと守り、楽しんでいます。鬼ごっこ系の遊びでは、積極的に参加し、がんばっています。鬼になってもニコニコとしながら続け、相手の隙を見逃さず上手に捕まえることができます。ドッジボールでは、経験を重ねることで、ボールを投げることが上手になりました。今後も様々な運動の機会を提供し、できることを少しずつ増やしていきます。また、運動を通して、友達との交流も楽しんでもらいます。

 学習の面では、宿題と公文に取り組み、がんばっています。集中して取り組み、漢字を丁寧に書くことができています。公文では、わり算の筆算に取り組んでいます。新しい内容を理解することに少し時間がかかりますが、繰り返し取り組むことにより少しずつ一人で解けるようになります。今後も、丁寧に学習支援を行い、できることを増やしていきます。

 気になる点は、細かなことですが、平気で嘘をつく点です。入室時に手を洗っていないのに「もう洗ったよ」と言ったり、ドッジボールでボールが肩に当たったのに「頭だった」と言い張ったり、車の前の席に乗りたい人で行ったジャンケンの結果報告を偽ったりする等、自分にとって都合が良いように嘘をつくことがあります。一つ一つは細かなことですが、このようなことを続けていると、相手からの印象が良くなくなったり、相手から信用されなくなったりしてしまいます。R. M. Gagneは、態度とは、ある事象に対する知識やスキルが備わっていて、なおかつそれを行動として選択し、実行できるということと述べています。また、向後は、ある態度を身に付けたと判断される基準は、その行動が自発されることで、そうしようと思っているだけで行動が伴わない場合や、指示を受けてそれに従う場合は、その態度を身に付けたとは言えない。態度は、文脈のない状態で教えることはできず、その人の属しているコミュニティ(共同体)から明示的に教えられるともなく、学習した結果なのだと述べています(向後,2015)。つまり、態度の学習は個人で行われるものではなく、ある集団に属し、その集団の中にいる人とのやり取りを通して生じるもので、ある集団の活動に参加するという文脈の中で自分がどう振る舞うべきかを次第に学習していくということになります。また、道徳性発達理論を提唱したローレンス・コールバーグも、道徳性の発達は言葉の説明等による大人からの道徳教育を単に吸収するのではなく、社会・文化環境と交わることで発達する認知的道徳構造のあらわれであると述べています。したがって、スポスタというコミュニティに所属しながら様々な経験を積み重ねてもらう中で、適応的な態度を知り、それを行動として選択・実行できるようはたらきかけていきます。そして、適応的な行動をした場合には、褒めて次もそうしようとする意欲を引き出し、良い循環が生まれるようにしていきます。

 本児は、様々な活動に積極的に取り組み、楽しそうに過ごしています。今後も良い面をさらに伸ばすとともに、集団に属しながら様々な経験を積み重ねてもらう中で、適応的な態度を少しずつ身に付けてもらい、気になる点の改善を図っていきます。

引用文献

向後千春(2015).上手な教え方の教科書-入門インストラクショナルデザイン 株式会社技術評論社

Juri F.