注目の機能を持つ児童の不適応行動に対し、エラーレス学習と代替行動分化強化を用いて適応的行動を確立する支援
明るく人懐っこい性格で、様々な活動に積極的に取り組み、楽しく過ごすことができています。自由遊びの時間は「○○やろう」と、指導員を誘うことが多く、人と関わることが好きです。トランプの神経衰弱では、記憶力がよく、多くのカードを取ることができて喜んでいます。また、漢字に興味があり、漢字の表や漢字カードで遊ぶことも好きで、自分の名前の文字を探したり、床に並べてカルタをしたり、「〇〇はどこにあるでしょう」と絵の中から漢字を見つけるクイズをしたりして楽しんでいます。他には、川渡りゲームや玉入れ、椅子取りゲーム、ボウリング等、様々な遊びを楽しんでいます。本児はまだ自分から友達のしている遊びに仲間入りすることは少ないですが、本児と指導員の2人で始めた遊びに友達が「入れて」と言いに来ると、いつも「いいよ」と嬉しそうに言い、仲良く遊ぶことができています。今後も指導員が仲介し、友達と仲良く遊ぶことができるようにしていきます。
戸外活動では、様々な場所へ出掛けることを楽しみにしてくれています。戸外活動中はグループ活動を実施していますが、同じグループの子に「○○君、あっち行こう」と積極的に呼び掛けたり、友達の行きたい所に合わせたりし、一緒に行動することができています。室内アスレチックでは、フワフワの遊具で元気よく身体を動かし楽しんでいました。電気の科学館では、「これやりたい」とボールを転がしたり、タッチパネルのゲームをしたり、ハンドルをクルクル回したりし、様々な展示に興味を示し楽しんでいました。帰る時間になった際には、声を掛けるとサッと切り替えることができ、すぐに遊びを止めることができています。今後も、様々な経験を積み重ね、社会性をさらに伸ばしていくことができるよう支援していきます。
コミュニケーションの面では、以前に比べ話す量が増えてきました。給食の話や、授業で虫捕りをした話、好きな食べ物の話、家族で出掛けた時の話等、様々な話をしてくれるようになりました。まだ一言二言で話が終わってしまいますが、質問に対しても答えてくれることが増え、会話も成立するようになってきました。今後も、本児が好きなことや経験したことを伝えたい気持ちを大切にしながら、コミュニケーション力が向上するよう支援していきます。
運動エフェクトでは、身体を動かすことが好きで、どの種目も楽しそうに取り組んでいます。短縄の前跳びでは、自由時間にも練習し、リズムよく跳ぶことができるようになりました。跳び箱では、しっかりと踏み切ることができ、縦4段を跳ぶことができました。長縄の8の字跳びでは、前の子と間を空けずに縄に入ることが上手になってきて、成功率が高まっています。集団遊びでは、ルールを守って取り組むことができ、がんばっています。積極性があり、「(鬼ごっこの)鬼やりたい」「(ドッジボールの)外野やりたい」と手を挙げることが多いです。また、鬼ごっこ系の遊びでは、走るのが得意で、友達をすぐに捕まえることができて嬉しそうにしています。ドッジボールでは、ボールを以前より強く投げられるようになり、がんばっています。今後も、様々な運動経験を積み重ねる中で、できることを増やしていきます。また、友達と一緒に遊ぶ経験を増やし、友達との関わり方を学ぶことができるよう支援していきます。
学習の面では、宿題と公文に取り組んでいます。分からない所があると自分から質問し、がんばっています。九九の練習では、あっという間にすべての段をスラスラと言うことができるようになり、記憶力の良さに驚かされました。公文では、1桁で割るわり算の筆算の練習をしています。計算が得意で、解き方をすぐに理解し、一人で進めることができています。また、「これが終わったら何になる?」とよく尋ねてきて、今後の教材も楽しみにしてくれています。今後も丁寧に学習支援を行い、できることをさらに増やし、自己肯定感を高められるよう支援していきます。
気になる点は、友達との関わり方が分からず、友達とのトラブルが後を絶たない点、活動中にふざけてしまう点です。友達が何かしたわけではないのに、急に叩いたり蹴ったり、その子の物を取り上げて走り去ったり、通りざまに「バカ」と言ったりします。また、唾を手に塗って友達に触る、お菓子を鼻の穴に刺したり、床に落ちたヨーグルトを舐めたりする、汗を他の人の服でぬぐう等、他の人が嫌がることをして喜んでいることもあります。また、注意の受け止めが弱く、何度も同じことを繰り返しています。これらの行動の機能は注目と考えられるので、今後も以下のように対応し、不適切な行動を減らしていくことができるよう支援していきます。1つ目は、事前の声掛けにより、これらの行動の抑制を図ります。教室に来た際に「(おもちゃを)投げる、蹴る、叩く、引っ張る、噛む、唾はダメだよ」、運動種目を始める前に「ふざけたらダメだよ」と、してはいけない行動を具体的に伝えながら注意を促し、意識を高めておきます。そして、途中で「ちゃんと守れている?」と何回か確認し、なにも悪いことが起きていないことをほめます(エラーレス学習)。2つ目は、代替行動分化強化をします。本児は現在、次々に不適切な行動をして周りからの注目を得ようとしています。不適切な行動に反応してしまうと本児の報酬になってしまうので、敢えて不適切な行動には関与しないようにします。そうすると、本児は、何とか別の方法で注目を得ようと考え、自身は良い行動をとり、友達の良くない行動を指摘することで注目を得ようとします。友達の良くない行動を指摘することは良いとは言えませんが、自身は良い行動をとろうという意識が高まっており、不適切な行動が減少します。したがって、不適切な行動には反応せず、適切な行動をほめていくことで、徐々に不適切な行動を減らし、適切な行動を増やしていきます。3つ目は、役割を与え、注目の機会を増やすことです。あいさつ係や整列係等の役割をもってもらったり、お手伝いを頼んだりし、注目の機会を増やし、注目欲求を満たすようにします。これらの3点を実施し、本児の不適切な行動を減らすとともに適切な行動を増やしていくことができるよう、支援を継続していきます。
本児は、様々な活動に積極的に取り組み、楽しそうに過ごしています。今後も本児の良い面をさらに伸ばすとともに、気になる点の改善を図っていきます。
Juri F.

