様々な経験を通じて、感情を上手く処理したり、衝動的な行動を抑えたりすることができるようになる

 明るく素直で、運動も学習も一生懸命取り組み、少しずつ確実に力を伸ばしています。最近は、友達と一緒に遊ぶことも増え、ブロックやコマ対決、ボール当て、警察ごっこ等をして仲良く過ごしています。また、戸外活動では、声を掛ければペアの子と交代で遊ぶ場所を決めることもできるようになってきました。感情のコントロール面では、負けたり、上手くいかなかったりしても、悔しそうな顔をするだけで抑えられる時が増えました。話の割り込みに関しては、声掛けをすれば前の子が話し終わるまで待つことができるようになり、改善しています。
 気になる点は以下の四点で、様々な経験を通じて改善を図っていきます。一つ目は、初めての場所や興味を惹かれる物がある場所で過剰に興奮し、ペアの子をおいていったり、順番を守れなかったりする点です。慣れた場所では、その場に合った行動がとれていますが、本人の気持ちを強く刺激する場所では、普段はしないような行動が出てしまいます。まずは、戸外活動で様々な場所に出かけ、興奮する状況下でも気持ちを抑制することを身に付けてもらいます。その際、出かける前の落ち着いた状態の時に、ワクワクすること自体は悪いことではないですが、過剰に興奮してしまわないことを約束してもらいます。また、遊んでいる最中も声掛け等の補助刺激にて、本人が自分の行動を俯瞰して考えられるようサポートしていきます。
 二つ目は、友達と玩具を取り合うなど、思うようにならないことがあると手を出してしまう点です。いざこざの直後は「やめて」「貸して」と言葉で伝えることができていますが、相手が応じてくれないと叩いて無理やり取り返そうとします。まだ思い通りにならないと力で解決しようとしてしまうので、何か嫌なことがあっても絶対に手を出してはいけないことを繰り返し伝えていきます。また、困った時は全て自分で対処しようとせず、大人に助けを求めることができるようにしていきます。初めのうちは、大きな声を出すなど、手を出す前兆が見られた時に、私たちが介入し解決を図ります。その後、行動の改善に伴い、私たちの介入を少しずつ減らしていきます(フェイディング)。
 三つ目は、苦手な運動を避けようとしたり、「できない」「疲れた」と弱音を言ったりする点です。繰り返し取り組んでいる長縄や幅跳び、短縄、ドリブルの記録は、少しずつですが着実に伸びています。苦手だったブリッジも準備運動の中で何度も練習した結果、上手にできるようになりました。鉄棒の逆上がりのように、できるようになるまで何度も練習するがんばり屋さんな面も見られます。「がんばるぞ」という気持ちを持っている時には、ビート板を使って25メートルを何往復も泳いだり、長縄跳びを77回も跳び続けたりすることもできています。まずは、苦手なことやあまり好きではないことがあっても、すぐに口にしてしまわない抑制力を身に付けてもらいます。先生が話している時や友達が発表している時には思ったことがあってもすぐに口を挟まない、遊びが楽しくないと感じた時に面白くないと周りを不快にする言葉を発してしまわない等の行動が改善したことと同様、暗黙のルールや空気を読むというソーシャルスキルを向上させていきます。また、本人が、「できない」「大変そう」とマイナスなイメージに思考を奪われている時は、鉄棒の逆上がりや短縄の前跳び等のように、何度も練習を積み重ねてできるようになったことを思い出してもらい、現時点では上手くできないことも前向きにがんばれば必ず向上するのだと感じてもらいます。また、良くなった所を伝えたり、がんばりを認めたり、喜びを共有したりし、本人が有能感をもって色々なことに挑戦したくなるような環境を整え、健やかな精神を育んでいきます。
 四つ目は、好きなことをしている時に交代ができない点です。飛行機の操縦シミュレーターやゲームなど、好きなことをしていると声を掛けても交代できないことがあります。「ゆずる」という言語刺激を耳に入れた場合、このまま続けたくても交代するルール行動を身に付けてもらいます。当教室には、「車の助手席は、年下の子の希望を優先する」というルールがあります。本人はここまで、いつも「前がいい」と言っていましたが、ある日友達から席を譲ってもらえたことがきっかけで、「僕、行きは前がいいけど、帰りは(譲ってくれた)〇〇君が乗っていいよ」と言うようになりました。これは、自分が嬉しかったと学習したことを相手に返報した行為であり、学習力の高い本人にとってルール活動が良い影響をもたらしていることを表しています。様々な活動をする中で、行動と結果を関係づけ、適応行動に褒める等の社会的結果を伴わせながら、直接的学習がない場面でも、学習した場面と同様の行動がとれるようにしていきます。

Juri, F.