様々な活動を楽しみ、元気よく過ごすことができる

 明るく人懐っこい性格で、人と関わることが大好きです。指導員だけでなく友達とも積極的に関わるようになり、仲良しの友達ができました。自由遊びの時間は、ブロックで恐竜の家を作ったり、様々な容器やブロックを組み合わせてピタゴラ装置を作ったりし、楽しそうに遊んでいます。また、友達に「入れて」と言いに行ったり、「お届け物です」と荷物を届けたりする等、友達の遊びにも自分で仲間入りできるようになりました。友達との関わりが増えて活発に遊ぶようになってから、声が出るようになったり、「だるい」と言うことが少なくなったりし、元気よく過ごすことができています。

 戸外活動では、公園で虫捕りをして遊びました。初めの頃は虫に触ることができませんでしたが、友達が捕まえた虫を見せてもらっているうちに徐々に慣れ、夏休みの終わり頃には、バッタを自分で捕まえられるようになりました。バッタを見つけたり捕まえたりすると大きな声で友達を呼んだり見せに行ったりしていました。虫を介して普段はあまり一緒に遊ばない友達とも関わり、仲良く過ごすことができました。

 運動エフェクトでは、どの種目も一生懸命取り組み、がんばっています。記録会では、繰り返し取り組んでいるうちに跳び方が上手になったり線を意識して動けるようになったりし、幅跳びの記録は140cmに、反復横跳びの記録は37回に伸びました。鉄棒のりんご懸垂が10秒間できるようになったり、ポートボールのパス練習でボールを持っていない時の動きが上手にできるようになったりし、できることが増えています。集団遊びではルール理解力があり、ルールに沿って楽しむことができています。鬼ごっこ系の遊びが好きで、鬼に捕まらないよう、よく考えながら素早く動くことができます。できることが増えたことで積極的に取り組む姿が多く見られるようになり、活動をより楽しめるようになりました。今後も繰り返し取り組むことでできることを増やすとともに、友達との交流を楽しんでもらいます。

 学習の時間は、課題に集中して取り組みがんばっています。公文では、たし算の筆算の練習をしています。繰り上がりの有無に気を付け、一人で解くことができるようになりました。計算ミスが少なく、落ち着いて丁寧に取り組むことができています。レプトンでは、1つ、2つ、3つと、覚える単語の数を1つずつ増やしながら繰り返し発音練習をし、6つ程の単語を覚えられるようになりました。また、様々な種類の問題に慣れ、一人でテキストを進めていけるようになりました。今後も前向きに学習に取り組むことができるようサポートし、更に力を伸ばしていきます。

 気になる点は以下の3点です。1点目は、姿勢が崩れやすい点です。姿勢を維持することができるのは、筋紡錘(muscle spindle)が筋肉の長さを一定に保つからです。筋紡錘とは、深部感覚のセンサーのことで、筋肉の位置や伸び具合等の情報を常に脊髄に伝えるはたらきをしています。この筋紡錘の情報を基にして脊髄反射が生じ、引き伸ばされた筋肉が元の長さに戻ろうと収縮し、姿勢を維持することができます。深部感覚は、お相撲等のようにギュッと力を入れる動き、ジェンガ等で遊ぶ時のそっとした動き、だるまさんが転んだ等のように止まったり走ったりする動きを繰り返すことで高めることができます。日々の活動の中で楽しみながら深部感覚を刺激していきます。また、姿勢が崩れやすいことを自覚してもらい、崩れないよう意識してもらいます。その際、少しずつ意識する時間を伸ばしていき、成功体験を積み重ねられるよう配慮します。

 2点目は、帰りの会の発表が苦手な点です。帰りの会では初めて知ったことを発表してもらっています。最近は帰りの会の発表に向けて予め情報を探し、発表メモを作っています。こちらから声を掛ける前に本を持ってきて発表することを探すようになり、前向きに取り組んでくれています。現段階では、まだ内容の要点をつかむことが難しいので、一緒にメモ作りをしていますが、徐々に支援を減らし一人で準備できるようにしていきます。また、対話を通して話し方を学んでいくナラティブ・アプローチという方法があります。この方法には、話を深く掘り下げていく精緻化スタイルと話が次々に変わっていく実質スタイルがあります。これらのスタイルは、どちらが良いというわけではありません。日々の会話の中で、本児の話の内容から話を掘り下げたり、話を転換したりすることで、本児の語りの幅を広げ、より上手な語り方を身に付けることができるよう支援していきます。

 3点目は、体力の更なる向上が必要な点です。昨年に比べ、「だるい」と言うことが少なくなり、元気よく過ごせるようになりました。元気よく活動するには、食事、睡眠のほか、運動をして適度に身体を動かすことが大切です。運動には、レク効果とトレーニング効果があります。レク効果としては、気分転換、疲労回復、家庭生活への寄与があり、トレーニング効果としては体力の向上が挙げられます。疲れさせることは悪いことではなく、体力を向上させるためにはここまでの運動量が必要なのだという考え方が必要です。一晩寝たら回復するくらいの運動量を設定し、適度に疲労感を感じることで体力を向上させることができます。一晩寝ても回復しない場合はオーバートレーニングで、活動が強過ぎる、自分の体力と合わない可能性があるため運動強度を調整する必要があります。体力が高いほど集中力も高いというデータがあることから、運動エフェクトを通して体力を高め、学習時の集中力や姿勢の維持に寄与させていきます。

 本児はこの半年間で対人関係面、体力面、学習面において大きく成長しています。今後も様々な活動を楽しみながら元気よく過ごすことができるよう支援していきます。

Juri F.