成功体験やモデリングを通して、自己効力感を高める

 優しく穏やかな性格で、はっきりと自己主張するだけでなく、友達に気を遣う姿も多く見られ、友達と仲良く過ごすことができています。お話することが好きで、1つの話題を掘り下げ、詳しく話すことができます。また、ブロックで遊ぶことが好きになり、飛行機やロボット等を作っています。以前は、ブロック遊びの得意な友達に教えてもらった形を再現していましたが、最近は少しずつ自分なりの工夫を加えながら上手に組み立てることができるようになりました。ブロックで色々なものを作ることができるようになったことが嬉しいようで、出来上がった作品をよく見せに来てくれます。運動エフェクトで繰り返し取り組んでいる種目では、ルールが分かるようになり、より楽しめるようになりました。学習の時間は、分からない所を自分から質問し、がんばって取り組んでいます。

 気になる点は、運動エフェクトに参加しないことが増えている点です。本児は「そんなことできない」と取り組む前からネガティブな発言をして参加しないことが多くあります。また、参加したとしても、鬼になるなど思い通りにならなかった時には「だからやりたくなかったんだ」「どうせ捕まえられない」と途中で止めてしまうことが多くあります。本児自身、運動に対する苦手意識が強く、自己効力感が低い状態になっています。自己効力感(Self-Efficacy Theory)とは、「自分なら上手くできる」「きっと上手くいく」と、自分が必要に応じて目的を達成できるという可能性の感覚です。自己効力感は、結果期待と効力期待によって構成されています。結果期待とは、これまでに積み重ねてきた経験をもとに「こうすれば成功するだろう」とイメージを明確にもち、結果を予期することです。効力期待とは、「自分なら上手くできる」と確信をもつことです。これらのうち、効力期待が動機づけに直結しています。自己効力感が低いと「きっと失敗するだろう」「自分では上手くできない」と考え、行動を起こすこともやる気になることもできない状態になり、悪循環に陥ってしまいます。そこで、本児の自己効力感を高めるため、以下の2点の支援を行っていきます。1点目は、成功体験を積み重ねることです。自己効力感は何らかの行動をやり遂げて成果を得るという経験の反復を通じて高められるとされています。まずは、活動に参加したこと自体を褒め、次もがんばろうという気持ちを引き出していきます。また、小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねられるよう工夫します。2点目は、モデリングをしてもらうことです。モデリングとは、自身が直接経験せずともモデルとする他者を観察することで学習が成立することです。モデリングと自己効力感には繋がりがあるとされていて、他者を観察し、あの行動をすれば上手くいくと考えることが、その後の自己効力感に繋がると考えられています。このモデリングと自己効力感は、共にアルバート・バンデューラ(Albert Bandura)が提唱した理論です。本児は、現在「どうせできない」とマイナスな気持ちになると運動エフェクトへの参加を止めてしまいますが、今後は事前に声掛けをしておくなどし、できるだけ運動エフェクトに参加してもらうようにします。そして、他の子の実技を見ることによって「自分にもできそうだ」という感覚をもってもらいます。この感覚がチャレンジしてみようという気持ちを高め、やってみたら意外とできたという経験につながります。このように、成功体験やモデリングを通して自己効力感を高め、様々な運動にチャレンジすることができるよう支援していきます。

Juri F.

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