安心できる環境で落ち着いて過ごすことができるー刺激統制法と消去手続きを組み合わせた支援ー

 明るく人懐っこい性格で、指導員と積極的に関わり、楽しそうに過ごしています。自由遊びの時間は、広告で遊ぶことが好きです。棒状に丸めた広告を使って綱引きをしたり、「ひこうき!」と広告で折ってほしいものを伝えてくれたりします。また、絵本に載っている絵を指差して、「これ何?」と尋ねたり、「しょうぼうしゃ」「パトカー」等と言ったりして遊んでいます。形のパズルでは、形を見ながら迷うことなく正しい場所にはめていくことができ、上手です。シール貼りも好きで「シールやる」と自分から言うこともあります。また、車の中では、一緒に歌ったり、歌に合わせて腕を振ったりし、楽しそうにしています。今後も本児の好きなことを一緒に行い、楽しく過ごしてもらいます。

 生活の面では、時間を十分にとることで、入室時に靴を脱いで靴箱にしまうことがほぼ確実にできるようになりました。また、着替えでは、服を脱ぐことは全介助していますが、服を着る動作のうち頭を通す所を補助すると腕を袖に通す部分は自分でできるようになりました。服を畳むことは最後に半分に折る部分を自分でしてもらうようにしています。風呂敷を結ぶ時は「こっち引っ張って」と声を掛けると協力してくれるようになりました。今後も自分でできる部分を少しずつ増やしていくことができるよう、繰り返し練習を行っていきます。

 気になる点は、運動エフェクト中に関わると不適切な行動が生じてしまう点です。以前は、運動エフェクト中は指導員と別室で過ごすようにしていましたが、なかなか落ち着かず、困り感が続いていました。困り感が続いている原因として人との関わりがあると考え、困り感をなくすには、人との関わりを制限するため刺激統制法と消去手続きを組み合わせることが効果的だと考えました。そこで、運動エフェクトの時間に限り、本児専用のスペースを皆と同じ部屋の一部に作り、敢えて関わらないようにしたところ、そのスペースで落ち着いて過ごせるようになりました。大きな声を嫌がることもあまりなく、他の子の運動しているところをニコニコしながら見ていることが多く、そのスペースが本児にとって安心できる環境になっているようです。一方、運動エフェクトの時間に関わりを減らす代わりに、自由時間や学習の時間等、別の場面での関わりを増やしています。そうすることで適応的な行動の割合が増えており、良い傾向が表れています。今後も、本児が安心して過ごせることを第一に支援を実施していきます。そして、穏やかな気持ちを維持することで、日常生活動作の練習機会を確保したり、学習に取り組んだりすることができるようにしていきます。

 本児は、一時期に比べ穏やかに過ごせる日が増え、表情も柔らかくなっています。今後も安心できる環境を整え、穏やかに過ごすことができるよう支援していきます。

Juri F.

戸外活動

前の記事

名古屋城
戸外活動

次の記事

稲沢公園